嶋連太郎の越前和紙への功績などを紹介する展覧会=7日、福井県越前市の卯立の工芸館

嶋連太郎の越前和紙への功績などを紹介する展覧会=7日、福井県越前市の卯立の工芸館

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嶋連太郎の功績紹介する展覧会 越前和紙を広めた実業家

福井新聞(2015年1月8日)

 福井県越前市粟田部町出身で東京で印刷会社「三秀舎」をおこし、故郷の越前和紙を世に広めた実業家嶋連太郎(1870~1941年)の生涯をたどる展覧会が3月1日まで、同市の卯立の工芸館で開かれている。

 連太郎は東京・神田で印刷会社・三秀社を設立し、越前和紙を用いた郷土史などを多く出版した。福井県出身の日本史家牧野信之助と出会い、初代岩野平三郎に越前和紙の歴史や日本画紙を紹介する「新製日本画紙案内」(1925年)の制作を勧めるなど越前和紙の発展に尽力した。

 展覧会では、嶋が岩野に和紙を発注した1933年の手紙と、その和紙が使われた可能性が高い牧野執筆の「越前若狭古文書選」を展示。牧野らの助言で岩野が開発し、現在も多くの日本画家が愛用しているという「雲肌麻紙(くもはだまし)」などの用紙も並べている。

 また、嶋時代の三秀舎が印刷した福井県史の初版や、文芸雑誌「スバル」「白樺」を展示。東京の9割の印刷・製本業者が被災したとされる関東大震災の半年後には同社が印刷した「漱石全集」の予約注文が始まっているなど、印刷業にかける嶋の情熱が伝わるエピソードや生涯、故郷を愛し粟田部町に図書館(花筐文庫)を創設した功績なども紹介している。

 観覧料は大人200円、小中学生100円で、紙の文化博物館と共通。火曜休館。

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