身を切るような冷たい水の中で威勢良く綱を引き合う男衆=18日、美浜町日向

身を切るような冷たい水の中で威勢良く綱を引き合う男衆=18日、美浜町日向

福井県 敦賀・若狭

「水中綱引き」男衆威勢良し 美浜の運河 豊漁、無病息災願う

福井新聞(2015年1月19日)

 380年前から伝わるとされる国の選択無形民俗文化財「水中綱引き」が18日、美浜町日向の運河で行われた。海からの寒風が吹きすさぶ中、さらし姿の男衆約30人が勢いよく水中に飛び込み、綱を切れるまで引き合い1年間の豊漁と無病息災を願った。

 綱は直径約20センチ、長さ約40メートル。参加者らが早朝から稲わらを編み上げて作った。午後2時すぎ、10~60代の男衆が、橋の欄干から次々と運河へ。冷たい水に体を赤くしながら、東西に分かれて、両岸につながれた綱を懸命にほどいたり引っ張ったりした。「よいしょ! よいしょ!」との威勢の良い声を上げて、10分ほどで綱をちぎった。

 町内外から大勢の人が訪れ、漁師町の勇壮な伝統行事に見入った。10年ぶりに復活し神事を担った地元青年会の志賀司会長(27)は「無事に終わって安心した。年末からブリが豊漁。この状態が続いてくれたら」と話していた。

 「水中綱引き」は、1635年に日向湖と若狭湾を結ぶ運河が完成したのを祝い、村人が綱引きをしたのが起こりとされる。災害による土砂撤去中に大蛇が現れ作業を妨げたため、大蛇より長い網を張り侵入を防いだのが起源との説もある。

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