中池見湿地付近の北陸新幹線ルート

中池見湿地付近の北陸新幹線ルート

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北陸新幹線の認可ルート変更か 中池見湿地通過問題で

福井新聞(2015年1月28日)

 北陸新幹線がラムサール条約に登録されている中池見湿地(福井県敦賀市樫曲)の一部を通過する問題で、2012年に認可を受けたルートが変更される可能性が高まっている。認可ルートは、02年の環境影響評価(アセスメント)時に想定された「アセスルート」とずれており、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の検討委員会は昨年末、アセスルートよりも動植物に与える影響が大きいとの中間報告を提示。国交省は「アセスルートに戻すことを視野に検討したい」としており、3月中に開かれる検討委最終会合の結論が注目される。

 アセスルートは湿地東側を通過していたが、認可ルートはアセスルートよりも湿地の中心に約100メートル近づく形で計画されている。敦賀市内の集落分断を避ける措置とされるが、湿地の一部である「後谷(うしろだに)」を横切る。機構は松井正文・京都大大学院教授を委員長に動植物、生態系、水環境などの専門家9人の検討委を13年11月に立ち上げ、両ルートが環境に与える影響を調査してきた。

 昨年12月、第3回会合の後の会見で、松井委員長は「次回会合でアセスルートの方が好ましいとの方向性を示す可能性がある」と言及。機構側も「われわれにとって認可ルートは分が悪いというと語弊があるが、厳しい状況が出てきている」(議事録より)とし、認可ルートが後谷の自然環境、動植物に与える影響の大きさを認めている。

 これを受け、国交省の担当者は1月8日、記者団に「検討委で動植物への影響はアセスルートの方が認可ルートよりも小さいとの結論が出たので、アセスルートに戻すことを視野に検討したい」との見通しを示した。金沢―敦賀の開業3年前倒しが決定したことで、機構から計画変更の申請があれば「速やかに対応する」とも述べた。

 アセスルートは集落を分断するという課題があるが、敦賀開業前倒しの議論を進めてきた政府・与党ワーキンググループのメンバーによると、認可ルートをアセスルートに戻した上で、支障となる物件を可能な限り回避できるよう調整する見込みだという。

 ルートに関し、湿地の保全に取り組んできた地元市民や研究者の見方は厳しい。湿地の保全や調査研究に取り組むNPO法人ウエットランド中池見代表の笹木智恵子さん(69)=敦賀市=は「認可ルートは回避するのが当たり前」と話す。後谷に生息する動植物の重要種への影響だけでなく、湿地に水を供給する山間部にトンネルを掘ることで水環境が変化し、湿地全体に重大な影響を及ぼしかねないからだ。

 さらに世界的に評価され、ラムサール条約登録の鍵になった地下約40メートル、約10万年分の泥炭層によって生物多様性が育まれていることを強調し「アセスルートも登録区域内にある。影響を避けるなら区域外に通すべき」と"第3のルート"を求めている。

 一方、敦賀開業の3年前倒しで工事の時間的な制約がある中、敦賀市幹部は「検討委が早く結論を出してルートが確定し、次の段階に進めることを望む」と話している。

 福井新聞の取材に対し、機構は「どのようなルートのパターンがあり得るのかも含め、現段階で検討委の結論の想定はできない」とした上で「仮にルート変更があった場合は、自治体の全面的な協力を得て、工程を3年前倒ししていきたい。国交省の指導を得ながら認可変更の手続きを進める」としている。

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