徳万頼成遺跡で見つかった土偶=県文化振興財団埋蔵文化財調査事務所

徳万頼成遺跡で見つかった土偶=県文化振興財団埋蔵文化財調査事務所

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"ほほ笑みの土偶"出土 砺波・徳万頼成遺跡

北日本新聞(2015年1月30日)

 砺波市の縄文時代から近世にかけての複合遺跡「徳万頼成(とくまんらんじょう)遺跡」の土器捨て場跡で、縄文中期のものとみられる土偶が見つかった。頭部と胴体がつながった完全に近い状態で、丸みを帯びた目や口の彫り跡がはっきり残り、ほほ笑んでいるようにも見える。発掘調査を行った県文化振興財団埋蔵文化財調査事務所は「現地で何らかの儀式が行われていた可能性もある」として分析を進めている。(砺波支社編集部・中島慎吾)

 徳万頼成遺跡は砺波市の庄川右岸に位置し、国道359号砺波東バイパスの建設工事に伴い市教育委員会が2008、09年度に調査。本年度は埋蔵文化財調査事務所が昨年6月末~10月末に発掘し、縄文時代の竪穴住居跡や土器捨て場跡を発見した。

 同事務所によると、土偶は土器捨て場で採取した遺物を10月末に洗浄した際に見つかった。高さ9センチ、幅5センチで、腕や脚が欠損しているものの、頭と胴体がつながった比較的良好な状態だった。妊婦をかたどっているとみられ、目や口のラインのほか、結った髪を表現した頭部の模様、耳の穴が確認できる。

 一般的に土偶は儀式で用いられ、ばらばらに壊れた状態で見つかることが多い。良好な状態での発見に、同事務所の町田賢一調査課主任は「単に捨てられたのではなく、物を捨てる際に何らかの儀式が行われていたと推測することもできる」と話す。今後、形状を他の遺跡の土偶と比べ、徳万頼成遺跡のルーツや他地域との交流について探ることにしている。

 見つかった土偶は、同事務所が3月21日に県民会館で開く本年度の調査成果報告会「とやま発掘最前線」で展示される。問い合わせは同事務所、電話076(442)4229。

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