松本市芸術文化振興財団は18~22日、舞台「ユビュ王」をまつもと市民芸術館で上演する。気鋭の演出家小川絵梨子さん(36)=東京=を迎え、出演者が意見を出し合って作り上げる舞台だ。10日は市美術館で、一部場面を披露するプレパフォーマンスがあった。自由な雰囲気の地方の劇場から、伸び伸びとして斬新な演出の舞台が発信されつつある。
ユビュ王はフランスの戯曲で、ポーランド王を暗殺して王位に就き、やりたい放題を尽くす男がやがて追放される粗筋だ。10日は出演者10人が、ユビュが王位を奪おうとする場面を熱演。小川さんは「ユビュは器が小さく、自意識過剰だが嫌な人ではない。(自分も)共感できる部分がある」と、来場した約30人の観客に説明した。
出演者は地元や東京の役者10人。昨年10月、ユビュ王を深く理解するため、ユビュを裁判にかけるつもりでみんなが原作を読み込んだという。1月からの稽古では、登場人物に感じることを語り合って場面をつくり上げた。串田和美芸術監督の声掛けで参加した小川さんは「(上演までの)過程に興味がある。今回はやりたいことをやらせてもらっている」と語る。
芸術館が拠点の劇団「TCアルプ」所属でユビュ王の妻役などで出演する細川貴司さん(33)=松本市=は「小川さんら初めて組むメンバーとつくる中で、誤解が生まれる。そこが面白い」と話した。
一般3800円、大学生以下2500円(当日券はともに200円増し)。問い合わせは芸術館チケットセンター(電話0263・33・2200)へ。15日午後1時から、松本市中央3の「池上邸」の土蔵でもプレパフォーマンスをする。入場無料。
昨年開館した上田市交流・文化施設サントミューゼ(電話0268・27・2000)でも28日、3月1日に上演する(上田市など主催)。一般3800円、25歳以下1900円。