屋根雪の重みで倒壊した温泉旅館「鳩ケ湯」=16日、大野市上打波(豊実精工提供)

屋根雪の重みで倒壊した温泉旅館「鳩ケ湯」=16日、大野市上打波(豊実精工提供)

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奥越の秘湯「鳩ケ湯」雪で倒壊 大野、今春の再開は断念

福井新聞(2015年2月19日)

 明治中期に創業し「奥越の秘湯」として知られる福井県大野市上打波の温泉旅館「鳩ケ湯」が、雪の重みで建物の一部を残し倒壊したことが18日、関係者への取材で分かった。現在は閉館中で、再開準備を進めていた企業は「予定していた今春の再開は無理となったが、再建し営業できるよう、今年中に計画のめどを立てたい」としている。

 同旅館は家族経営の中心だった男性が亡くなったことから2013年5月に閉館。昨年7月に精密機械加工・設計製作の豊実精工(本社岐阜県富加町)が買い取り、再開に向け改修工事が進められていた。

 同社によると、同旅館の屋根雪下ろし作業を行うため16日、現地を訪れたところ、木造建物の3階建て部分(約70平方メートル)が北東側の壁面とともに倒壊していたという。同旅館に向かう県道は雪のため冬期間通行止めとなっており、倒壊当時は無人だった。

 壊れた部分に新たな積雪がなかったことなどから、倒壊したのは15日午後から16日朝までの間で、先週降り続いた雪が原因とみられる。除雪作業は先月28日にも行っていた。周囲には3メートルを超す積雪がある。

 現地を訪れた同社担当者の男性は「とにかく驚き、がくぜんとした。雪が続いた先週もずっと心配していたが、天候が悪く危険で作業に行けなかった」と声を落とした。前経営者の森嶋康哉さん(82)=同市新庄=は「豪雪を乗り越え、ずっと守ってきた建物だけに残念。仕方がないが、何とか温泉を続けてほしい」と語った。

 同社の今泉由紀雄社長は取材に「森嶋さんには大変申し訳ないことをした。心からおわびしたい。支援や協力を頂いている多くの方々の期待に応え、必ず温泉を再開したい」と話した。

 同旅館でワークショップを開くなど再開を応援しようと活動する県内の若者グループ「RE:SCOVERY FUKUI(リスカバリーフクイ)」の吉田裕則代表(33)=福井市=は「今後も復活に向け、できることがあれば協力していきたい」と話していた。

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