JR金沢駅の鼓門で記念撮影する観光客=2月2日、金沢市木ノ新保町

JR金沢駅の鼓門で記念撮影する観光客=2月2日、金沢市木ノ新保町

福井県 北陸新幹線

金沢のまちづくり 保存と開発、方針一貫 北陸へ延びるレール(6)

福井新聞(2015年2月22日)

 2月上旬のJR金沢駅東口。冷たい風が吹く中でも記念撮影をする観光客が後を絶たない。背後には、約3千枚のガラスを施した巨大な「もてなしドーム」と、金沢で盛んな能楽の鼓をモチーフにした朱色の鼓門(つづみもん)。駅は完成から10年近くが経過し、すっかり金沢の"顔"になった。

 北陸新幹線の終着駅として、注目を集める金沢市。石川県の調査によると、金沢市と近隣市町などを含めた金沢地域を訪れる観光入り込み客数は増加の一途で、2013年は823万9千人。特に外国人宿泊者数は飛躍的に伸び、13年は15万5899人と04年比で約3・7倍。県全域で約2万8千人の福井県をはるかにしのぐ。

 鼓門は「デザインが奇抜」などと批判もあったが、米国の旅行雑誌「トラベル・レジャー」の「世界で最も美しい14駅」(11年)で金沢駅が日本で唯一選ばれるなど、評価は国内にとどまらない。

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 金沢市交流拠点都市推進室の新保博之室長は、金沢のまちづくりの基本は「保存と開発の調和」と説明する。

 金沢港から金沢駅、武蔵ケ辻、香林坊、片町と続く主要道路沿いを「都心軸」とし、開発地域に位置付ける。一方で、兼六園と金沢城公園を中心とした三つの丘陵地、浅野川、犀川沿いは保存すべき歴史・文化ゾーンとして条例で明確に区分けしている。

 これに伴い、金沢駅の西側から金沢港に至る「都心軸」を土地区画整理事業で開発し、03年に香林坊にあった石川県庁が移転。残された旧県庁舎跡地は兼六園と金沢城公園に隣接しているため開発せず、中央公園と連続する計6・6ヘクタールの緑の空間を作り出した。

 「まちなかに緑が多く、人が憩える環境を上手に作っている。歴史的なものと新しいものが融合していて、まちづくりにビジョンや信念を感じる」。本県の坂井市出身で金沢在住の女性会社員(39)は香林坊で買い物し、公園を散歩するのが楽しみという。

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 「金沢市を観光都市と言われるのは嫌だ。学術文化都市なんだ」

 1990年から5期20年にわたって金沢市長を務め、まちづくりをけん引してきた山出保さん(83)は、そう断言する。市長時代は「いいまちには、いい人が来る。観光都市は結果であって、目標であってはいけない」と言い続けてきた。

 山出さんが「保存と開発の調和」とともに掲げてきたテーマは「伝統と創造のまちづくり」。その象徴が04年開館の「金沢21世紀美術館」だ。伝統文化のまちに現代美術はふさわしくないと計画当初は反対意見も多く、購入した作品は市議会で「ガラクタ」と呼ばれた。

 だが「新しいものを作る意識があって初めて伝統。その意識がないものは伝承。伝承はイコール踏襲だ」と説得。美術館の設計者が10年に建築界のノーベル賞とされるプリツカー賞を受賞すると批判は消えた。21世紀美術館や鼓門といった現代建築は、戦災、震災を免れた古都に新たな風を吹き込んだ。

 山出さんのまちづくりの方針は現職の山野之義市長も継承している。金沢市職員の一人は「行政の都市計画マスタープランはどこも一緒で、都市名を隠したら、どこの計画か分からない。ただ、金沢には1本筋の通ったまちづくりの考え方がある」と胸を張った。

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