炭火であぶられるダイオウイカ=新湊きっときと市場

炭火であぶられるダイオウイカ=新湊きっときと市場

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ダイオウイカ試食に4千人 新湊きっときと市場

北日本新聞(2015年2月23日)

 射水市の新湊漁港に水揚げされたダイオウイカで作った「するめ」の試食会が22日、同市の観光施設、新湊きっときと市場で開かれた。神秘的な深海の巨大生物を味わう珍しい企画とあって、県内外から約4千人が詰め掛けた。地元関係者は「世界初の試み」と声をそろえ、来場者も「この機会を逃せば一生食べられないかも」と、じっくりとするめをかみしめていた。 

 試食したのは、浜常食品工業(射水市七美・新湊)が加工した3匹のダイオウイカ。いずれも胴体の長さが約1・7メートル、足先まで含めると約4メートルになり、重さは合わせて約250キロあったが、するめにすると10キロ程度にまで減った。

 試食会では、炭火であぶったするめを2センチほどに切り分け、まず先着300人に振る舞い、残りは抽選で配った。きっときと市場によると来場した約4千人のうち、約2千人が味わうことができた。

 浜常食品の濱力男社長(70)は「喜んでもらい良かった。これを機に、小さいホタルイカから怪物イカまでが一緒にすむ富山湾の素晴らしさを知ってほしい」と話した。


■神秘の大物はイカす味 
 「意外にうまい」「しょっぱくておいしくない」。22日に射水市の新湊きっときと市場であったダイオウイカで作ったするめの試食会。めったにない珍味を口にした人たちからは、さまざまな感想が飛び出した。 

 試食会を企画したのは市場の鮮魚店と、ダイオウイカを加工した浜常食品工業。1月上旬から、するめを市場内で展示すると「試食会を開いて」との声が相次ぎ、準備を始めた。県食品研究所(富山市)で検査も行い、有害な成分がないことも確認した。

 試食会には県外からも続々と集まった。最初に味わったのは22日午前3時半ごろに先頭に並んだ大阪府箕面市の主婦、小野智子さんで「歯応えがちゃんとある。はるばる来たかいがあった」。川崎市の名須川信児さん(30)は「この機会は逃せないと思った。予想よりおいしい」とほほ笑んだ。

 味は賛否両論だった。砺波市表町の野田勇さん(71)は「酒のつまみに悪くない。もう少し工夫すれば富山湾の名物になるんじゃないか」と言う肯定派。一方、上市町宮川小学校5年の堀田紘志君は「おいしくない」、妹の同3年、さくらさんは「生臭い気がする」と共に渋い顔。

 入善町東狐の笹島浩裕ちゃん(5)は「しょっぱいけど、いつものより分厚い」と、一生懸命にかんでいた。


■本紙支局長も食べてみた 味わいプライスレス
 実際にダイオウイカのするめを食べてみた。まず感じたのは、するめ特有の香ばしさと、ぷりぷりした食感だ。グロテスクなイメージを裏切って、意外にまずくない。感想は人それぞれだったが、「予想外においしい」がやや多いように感じた。

 ただそれは、ダイオウイカはおいしくない、との先入観の反動もあるだろう。集中して味わってみると塩気が強く、するめなのに、かめばかむほど出てくる味わいもない。製造した濱力男さんは、イカ自身の塩分が理由と言う。ずっと口に入れているとにおいも気になってきた。

 巨大で分厚い体を、するめに仕上げるにはノウハウが必要だ。高温で加工しても、表面が乾くばかりで内部が腐る。50年の経験がある濱さんは「コストは絶対合わない。道楽でやったんだ。もう、二度とやらんよ」と苦笑いする。

 貨幣価値に換算できないプライスレスな「味」であることは間違いない。 (新湊支局長・高橋良輔)


■ことし12匹水揚げ 生態謎に包まれる
 ダイオウイカは、大きいもので全長約20メートルになるとされる。世界中の熱帯、または亜熱帯の深海に生息しているというが、昨冬ごろからは富山湾など日本海沿岸の広範囲で相次いで見つかっており、生態は謎に包まれている。

 魚津水族館(魚津市三ケ)によると、富山湾でことし水揚げが確認されたダイオウイカは21日現在で12匹。昨年1年間の5匹を上回り、水族館は「全国的にもずば抜けて多い」と言うが、卵や小さいイカが見つかっていないことから湾内での繁殖は否定する。

 日本列島の近くでは、太平洋側の南方の深海に生息しているとされる。稲村修館長は富山湾で水揚げが相次ぐ原因は不明だとしながらも「対馬暖流に乗って流れてきているのかもしれない」と推測。「富山湾や日本海に異変があるわけではなく、元の生息地や暖流に変化があった可能性は考えられる」と言う。

 ダイビングショップ「海遊」(富山市豊田町)の木村昭信代表(42)は1、2の両月、富山市の四方漁港沖で泳ぐ姿の撮影に成功した。ネット上に画像を公開すると、問い合わせが続々。「ダイオウイカをきっかけに珍しい生物が多い富山湾の魅力を知ってほしい」と話した。

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