ひなびた雰囲気がただよう出湯温泉。開湯1200年の歴史を持つ=23日、阿賀野市

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五頭温泉郷を歩く 千年超す歴史 古今の文人墨客癒やす

新潟日報(2015年2月24日)


 五頭連峰の裾野にある阿賀野市五頭温泉郷は、千年以上の歴史を持ち、情緒あふれる湯のまちだ。年間約12万人が訪れ、県が2013年に発表した満足度調査で1位に輝いた。3月の北陸新幹線開業の影響を心配する声もあるが、培ってきた実績は揺るがない。五頭温泉郷を支える人や歴史を訪ね歩いた。

 五頭温泉郷は出湯、今板、村杉の三つの温泉からなり、旅館数は13軒。天然ラジウムの湯が売り物だ。出湯温泉は県内最古の湯とされ、809年、弘法大師が錫杖(しゃくじょう)を突いて湧き出させたという伝説が残る。伝説の湯は現在も、華報寺境内の共同浴場の源泉として使われている。

 出湯温泉の名前は古くから知られ、全国の温泉を格付けする江戸後期の温泉番付にも記されている。明治時代から昭和30年代にかけ湯治場として栄え、市島春城や竹久夢二、会津八一ら有名人が多数訪れた。湯は皮膚病や神経痛に効くといわれ、出湯の旅館は太平洋戦争中、陸軍傷病兵の病院としても使われた。

 村杉温泉は1335年、足利家の武将だった荒木正高が、薬師如来のお告げで温泉を見つけたと伝えられている。1914年、新潟医学専門学校(現新潟大医学部)の教授の調査で、温泉中にラジウムエマナチオン(ラドン)が多く含まれていることが分かり、注目を集めた。当時の新聞にも「村杉のラジウムは世界的レコード」と紹介され、村杉温泉の名は全国に知られることになった。

 村杉の長生館には多くの文人墨客が訪れた。相馬御風や日本画家の橋本関雪、近衛文麿首相が記した文や書が今も残っている。御風は先々代の社長と親しくし、手紙のやりとりをしていたという。荒木紀子社長(78)は「ラジウム温泉の効能や自然美に恵まれた環境に、文人や偉人たちも癒やされに来たのではないか」と推測する。

 今板温泉は、弘法大師が五頭山を開いたときに、自噴していた源泉を発見したことが始まりと伝えられている。明治の終わりから大正の初めにかけ、今板集落の有志が、観光振興のために温泉街を造ったという。

 五頭温泉郷は過去も現在も人々に愛されてきた。五頭温泉郷旅館協同組合の清野修栄理事長(63)は「規模が小さい旅館ばかりだが小回りが利き、お客のニーズに応えられているのではないか」と分析する。

 3月14日の北陸新幹線開業で、観光客が北陸方面に流れる懸念もなんのその。「ラジウム温泉の効能を全面に売り出して、誘客に取り組んでいきたい」と意気込んでいる。

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