あと1年工事が続く福井市のJR福井駅西口。手前がタクシー・自家用車の乗降場、広場中央がバスターミナルになる。奥は建設中の再開発ビル=24日

あと1年工事が続く福井市のJR福井駅西口。手前がタクシー・自家用車の乗降場、広場中央がバスターミナルになる。奥は建設中の再開発ビル=24日

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福井県都の玄関口づくり 官民、個性磨き加速を 北陸へ延びるレール(9)

福井新聞(2015年2月26日)

 JR福井駅西口に降り立つ観光客がまず目にするのは、仮囲いで覆われた工事現場。再開発ビルをはじめ、バスターミナルやタクシー・自家用車の乗降場、路面電車の停留場を一体的に整備する。大型トラックが行き交い、時折ごう音が響く。この光景はあと1年続く。

 福井市中央公園の再整備や福井城址(じょうし)の山里口御門(やまざとぐちごもん)の復元といった歴史が感じられる空間づくりも、本年度から本格化した。県都のまちづくりの指針となる県と福井市の「県都デザイン戦略」は、短期目標年次を福井国体が開かれる2018年、最終目標を50年としている。北陸新幹線開業を見据え、まちづくりに注力してきた金沢とは対照的に、福井の玄関口づくりは動きだしたばかりだ。

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 「金沢開業を指をくわえて見ているわけではない」と福井市幹部。4月は30回の節目を迎える「ふくい春まつり」、10〜12月にはJRグループや北陸3県共同で展開する「北陸デスティネーションキャンペーン(DC)」が控える。誘客に向けたソフト面の充実を図る。

 市おもてなし観光推進室は「金沢開業で高まる北陸への注目度をどう生かすのか、福井が試されている。温かいおもてなしが、観光客にまた来たいと思ってもらえる原動力になる」と意気込む。

 市は昨春、経済団体などと「観光おもてなし市民運動推進会議」を立ち上げた。おもてなしの心を学んでもらう講習会をこれまで5回開き、ホテルや飲食店の従業員、タクシー運転手ら471人が参加した。福井駅構内にある市観光案内所の女性スタッフは「身だしなみなど基本を見直す良い機会になった」と話す。新年度は講師に旅客機の元客室乗務員らを招き、質を高めていく。

 同案内所には、金沢開業前後に福井を訪れたいという問い合わせが増えており、観光客増加への期待感が高まっているという。

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 福井市中心市街地では、街頭スピーカーから催しの案内を知らせる音声が響く。商店街にはカラフルなベンチが並び、まち歩きツアーや商店街のアーケード下でフラメンコのショーも行われている。いずれも「エキマエを盛り上げたい」とする市民の動きだ。

 3月1日には新たな取り組みが始まる。戦国一の美女といわれたお市の方にちなんだ「ふくい『美のまち』プロジェクト」だ。福井駅西口周辺の空き店舗を活用し、美容関連の11店舗が一斉にオープンする。「美は衣食住の全てに通じ、既存店も新規出店者も参加できる。商店街に一体感が生まれ、まちの個性になる」と、発起人の竹本祐司さん(31)は狙いを語る。

 通称浜町の活性化に取り組むNPOこみちこまち浜町推進会議の開発毅代表(46)も、まちの個性の重要性を強調する。「どこかで見たことのあるような、カーボンコピーのまちづくりはもう終わり。『ここにしかない』とっておきのまちを目指さないといけない」

 県都の玄関口のハード整備は進み、まちづくりの主役である市民の機運も徐々に高まっている。今こそ官民が手を携え、「福井」がきらりと光るまちづくりを加速させるときだ。

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