長野県 北陸新幹線

首都圏―北陸間移動「倍増を」 JR東社長、大宮発着列車「あり得る」

信濃毎日新聞(2015年2月26日)

 JR東日本の冨田哲郎社長は25日、北陸新幹線(長野経由)の金沢延伸開業(3月14日)を前に都内の本社で信濃毎日新聞のインタビューに応じ、現在約500万人とされる首都圏と北陸間を移動する人の数を、延伸で「倍増させたい」と述べた。北陸、上越、東北の各新幹線が通る東京―大宮間の過密ダイヤの対応策として、将来は大宮発着の臨時列車を出すことが「当然あり得る」とした。

 冨田社長は、東京―大阪間の移動の一部が、北陸新幹線によって、速度重視の東海道新幹線から時間をかけて長野、北陸を経るルートに移る可能性がある―と指摘。長野、富山、金沢を経由して京都や大阪に行くルートは、「日本の伝統文化に触れる魅力あるコース。日本を知る上で非常に意味がある」とした。

 新幹線と在来線を組み合わせたり、新たな観光ルートを開発・宣伝したりして需要の掘り起こしを積極的に進める考えを強調。特に、首都圏から中央東線で松本へ行き、バスで岐阜県高山市、世界遺産の白川郷を経由して金沢に至り、北陸新幹線で首都圏に戻ったり、在来線で関西に向かったりするルートは「日本の代表的な観光ルートになる」とした。

 一方、県内で要望が強い篠ノ井線の高速化には「大きく需要が伸びる展望はなく、現状維持が基本」としたものの、「(新幹線開業などで)需要に変化があれば対応する」と説明。中央東線の高速化については、需要動向をみていく姿勢を示し、「ハードだけでなくソフト面も含め、少しでも需要を増やすようにしたい」と述べた。

 JR東は経営構想の中で、地方中核駅周辺のまちづくりを重要取り組み事項に掲げている。冨田社長は、長野市が駅前広場を整備し、同社が駅ビルを再開発した長野駅について「非常に奨励できるケース」とした。地方の活性化については、北陸新幹線の新型車両E7(W7)系の最上級座席「グランクラス」で県内産ワインを提供することを例に挙げて「地域を盛り上げる方法はある。具体的な活動をしていきたい」とする一方、地方にも「情報発信が足りない」と指摘した。

 冨田哲郎JR東日本社長との主なやりとりは次の通り。

 ―北陸新幹線(長野経由)の金沢延伸によって、目標とする人々の流動の規模は。
 「首都圏と富山・金沢の流動は、飛行機、高速バスによる移動を含めてだいたい年間500万人と言われている。飛行機利用が新幹線に移るとかではなく、全体の流動を倍増させるのがわれわれの目標だ」
 「人が動けば経済活力が生まれ、地域を元気にし、地域に雇用をつくる。シニア層は活動的。流動を増やすことは決して難しいことではない」

 ―北陸新幹線を絡めた観光ルートは。
 「ぜひ推奨したいのは、(中央線の特急)『あずさ』で松本に入り、バスで高山(岐阜県)、金沢に抜けるルートだ。金沢からは、そのまま京都に行ってもいいし、新幹線で首都圏に戻ってもいい。4月からは飯山線に新しいリゾート列車を走らせる。新幹線網と在来線を組み合わせることで、新しい観光ルートを提供できる」

 ―東京―金沢を結ぶ速達型の「かがやき」、停車型の「はくたか」、これに臨時列車を加えた運行本数や停車駅は今後変わるのか。
 「利用客の需要があるところに列車を走らせるのが基本。固定的に考える必要はない。開業後の状況を見ながら柔軟に対応していきたい」

 ―新幹線沿線の都市に期待することは。
 「われわれが考えている以上に地方には魅力がある。善光寺の御開帳に見られるように、日本人の心のふるさとは地方にある。そこに誇りと自信を持ってアピールしたらいい。情報発信力が足りない」

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