下高井郡山ノ内町渋温泉の旅館「春蘭の宿 さかえや」が、全国の旅館が経営方針や従業員教育、地域への貢献などを発表して競う催し「第2回旅館甲子園」でグランプリを受賞した。さかえやは「誰もが輝ける職場、世の中に」をテーマに、従業員らが旅館の業務を通して学んだことなどを発表。初出場で「日本一」を達成した。
催しは、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部が昨年から始めた。同連合会加盟の約1600施設から出場希望を募り、各都道府県の旅館組合青年部の推薦を受けた25施設が参加。書類審査を経て、5施設が東京で18日に開かれた決勝に進んだ。
さかえやは1927(昭和2)年創業の旅館で、従業員は28人。湯本晴彦社長(45)は「旅館甲子園を目指すことで、従業員が一つになれそうだ」と出場を決意。みんなでPR内容を考え、11人の従業員が決勝の発表に臨んだ。
漢字が苦手だった従業員は、仕事の合間に勉強して漢字検定に挑戦、顧客らに毎日はがきを書くことで「こつこつと続けることの大切さを学んだ」と体験を披露した。不登校の生徒らの就労支援に積極的に取り組み、従業員が公私にわたり支援していることも紹介した。
湯本社長は「旅館業は、人が輝く世の中をつくる役に立てると訴えたかった。優勝できて感無量」と話した。