長野県上田市に飛来した国の特別天然記念物コウノトリの愛称が「ゆきちゃん」に決まり、7日に上田市の上田創造館で発表された。市の公募に対し県内外から139件の応募があり、市の選考委員会が決定。この雌が生まれた兵庫県立コウノトリの郷公園長で山階(やましな)鳥類研究所(千葉県我孫子市)名誉所長、山岸哲(さとし)さん(須坂市出身)の講演会もあり、約250人が耳を傾けた。
「ゆきちゃん」は、同公園で2011年5月に生まれた雌。13年秋に初めて上田市内で確認され、その後も度々飛来していることが、足輪の番号から分かっていた。選考委員は愛称の選定理由について、地元ゆかりの戦国武将・真田幸村にちなんだ応募が多く寄せられたことや、呼びやすさなどを挙げた。会場で愛称が読み上げられると、客席からは大きな拍手が起きた。
上田地域広域連合主催の講演会では、山岸さんがコウノトリの生態や野生復帰の現状を解説した。上田市の塩田地域で度々目撃されている理由について「ため池が多く、秋から冬に水が抜かれるため餌を捕りやすい」と説明した。
一方で、山岸さんは、今後も飛来が続くようにするには「ため池だけに頼らず、餌の供給源となる水田や川の環境を見直すことも重要」と指摘。「地域の生物多様性を取り戻すことが必要」と訴えた。