修復作業を終えた国宝・瑞龍寺(高岡市関本町)の達磨坐像(だるまざぞう)と傳大士椅像(ふだいしいぞう)が13日、仏殿に再び安置された。傷んでいた表面の漆や着色がはがれないように剥落(はくらく)止めを施し、強度を高めた。長年親しまれてきた雰囲気を保ちながら、滑らかな表面に修復され、四津谷道宏住職は「劣化を防ぎ、現状維持を目指した。今後も大切にしてきいたい」と話した。
瑞龍寺は1663年、加賀藩2代藩主の前田利長を弔うために3代藩主の利常が建立した。達磨坐像は17世紀の中国で作られた「唐仏(からぶつ)」で、寺の造営に合わせて前田家が長崎で買い求めたとされる。青みがかった目に西洋風の法衣をまとった姿から「マントのマルコポーロ像」と呼ばれている。
傳大士は教典を納める教蔵(きょうぞう)の守護神。寺の像は椅子に座った姿で、18世紀に京都の仏師が制作したとみられる。禅の開祖である達磨と共に祭られることが多い。
修復は京都市の文化財保存修復業者「彩色設計」が2月から実施。にかわを用いる昔ながらの手法で、はがれた部分を貼り付けた。傳大士の像は欠損した手の親指も復元した。
この日は業者の3人が像を仏殿に運び入れた。代表を務める小野村勇人さん(54)は「達磨坐像は非常に堅い1本の木で彫られている。見た目が日本の仏像と異なり、異国の風土を感じる」と話した。