福井県内唯一の日本百名山、大野市の荒島岳(1523メートル)の山開き「第12回芽吹祭」が10日あった。記念登山には待ち望んでいた愛好者ら約150人が参加。風そよぐ新緑の道をそれぞれのペースで登った。
地元の愛好家グループ「荒島愛山会」が毎年行っている。早朝、同市蕨生の荒島岳蕨生駐車場で安全祈願の神事を行い、比較的傾斜の緩やかな中出コースを登り始めた。
登山道は若葉で彩られ鳥のさえずりが響いた。シャクナゲやタムシバ、トクワカソウといった花も見られた。標高900メートル付近から山頂にかけて一部残雪があったが、登山に大きな影響はなかった。
山頂では白山や大野の盆地といった眺望が開けた。参加者は景色を眺めたり写真を撮ったりして、登頂の喜びをかみしめていた。下りはブナ林の見事な勝原コースを選んだ。
越前市の小林良徳さん(67)は「雪とブナの新緑がとても良かった。荒島岳は何度も登ったが、山開きはにぎやかで特別な楽しみがある」と笑顔を見せていた。
荒島愛山会の高松誠会長(63)は「登山届を出し、情報を仕入れて安全に十分気を付けて登ってほしい」と話していた。
麓の蕨生区では区民らが歓迎イベントを開いた。ステージ演奏を披露したりのっぺい汁を振る舞ったりして登山者らをもてなした。