仲仙寺に1862(文久2)年に奉納された絵馬を前に説明する伊藤さん

仲仙寺に1862(文久2)年に奉納された絵馬を前に説明する伊藤さん

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上伊那、木曽地方で絵馬展 迫力を実感

信濃毎日新聞(2015年5月17日)

 上伊那、木曽地方のさまざまな絵馬を集めた企画展を開催中の伊那市創造館で16日、市文化財審議委員の伊藤一夫さん(80)=伊那市小沢=が講演と展示解説をした。伊藤さんは、同市西箕輪の仲仙寺(ちゅうせんじ)に江戸後期から明治期に奉納され、展示の中心になっている「千匹馬図」は「全国的にも貴重ではないか」と説明。約30人が聞き、縦2メートル、横4メートルほどに無数の馬が描かれた大絵馬の迫力を実感した。

 伊藤さんは、群れ遊ぶ馬を描いた大絵馬を各地に訪ねた。県内最大級の絵馬がある大町市の仏崎観音寺、北原白秋が絵馬を見て歌を詠んだ上田市の北向観音堂など、いずれも馬による物流が盛んだった街道近くにあるという。

 中でも仲仙寺の千匹馬図は6面と際立って多い。奉納に協力した人が上下伊那や木曽など広範囲で、描き方も多様という。「一つ一つの馬に一人一人の祈りや願いが込められている。地域の人たちの心のありようを反映している意味でも貴重だ」と話した。

 創造館は展示に当たり、絵馬の馬の数や毛色などを調べた。岩出観音堂(木曽郡大桑村)の千匹馬図の745頭が最多。仲仙寺の千匹馬図は、1888(明治21)年奉納が592頭、1862(文久2)年奉納が360頭だった。

 明治21年の絵馬には寄進者1570人の名前や所有する馬1288頭分の毛色などを記した額が付き、色は32色。鹿毛(かげ)、黒鹿毛、青毛など現在も血統の区別で用いる色が多いが、鬼鹿毛、黒駒青駁(ぶち)などより細かい分類もしている。

 伊那谷と木曽谷の人々はかつて権兵衛峠を馬と越え、コメや漆器などを運び合ったといい、仲仙寺は「馬の観音様」と親しまれる。同館学芸員の浜慎一さん(38)は「生活に欠かせず家族の一員だった馬をいかに大切に扱っていたかが伝わる」と話していた。

 企画展は6月22日まで(火曜休館)。観覧無料。問い合わせは創造館(電話0265・72・6220)へ。

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