福井県あわら市吉崎地区の住民グループが、かつて吉崎御坊へのメーンの参道だった通りを復元した。古い地図を基に木々を伐採して道を切り開き、北潟湖を望むポイントも整備した。住民らは「吉崎のにぎわいにつながる観光スポットの一つになれば」と期待している。
復元したのは、住民が「馬場大路」と呼ぶ、吉崎小前から吉崎御坊跡の広場へつながる山中の約450メートル。約50年前までは生活道としても使われていたという。
広場へつながる別の道ができたことで通りは使われなくなり、茂みに覆われた。地元住民でつくる「吉崎御山(おやま)保存会」が、御坊を築いた蓮如上人の生誕600周年などを機に、通りや眺望を復元し誘客につなげようと整備を計画。市の景観整備事業補助金約140万円を活用し昨年9月、委託業者とともに整備を始めた。
通りの面影すら残っていなかった茂みを、100年以上前の地図を参考にしながら切り開き、幅2メートルの通りを整備。通りには、歩きやすさや環境への配慮からウッドチップを敷いた。途中、北潟湖の眺望をふさいでいた木々を伐採し、今年4月に完了した。通りの入り口には金津創作の森の入居作家らが制作した看板を掲げた。
木々の中を進んでいく通りは緩やかな傾斜で、ゆっくり歩いても10分程度。住民らは整備後も毎日、伸びた草木を刈り、景観維持に努めている。今後は北潟湖が望めるポイントに休憩用のベンチも設置したいとしている。
同会の田嶋直和会長(52)は「通りでは、鳥のさえずりや北潟湖から吹き抜けてくる風が心地いい。悠久ロマンに思いをはせながら歩いてもらえたら」と話している。