北アルプス白馬連峰の夏山シーズン到来を告げる開山祭「第49回貞逸(ていいつ)祭」が30日、北安曇郡白馬村の猿倉登山口であり、県内外の約370人が白馬大雪渓までの山歩きを楽しんだ。今年は登山道に残る雪が例年より多く、ひんやりと心地よい風を肌に感じながら初夏の山の魅力を楽しんだ。
貞逸祭は、白馬岳に山小屋を建てるなど村の山岳観光の発展に貢献した松沢貞逸(1889~1926年)をしのび、毎年開いている。
登山者の安全を祈る神事を登山口で終えた後、白馬岳(2932メートル)中腹にある大雪渓に向かって出発。地元の白馬山案内人組合がガイド役を務め、道中に咲く高山植物や間近に迫ってくる山並みに目を向けながら歩いた。
大雪渓には約2時間で到着。2年前に栃木県から白馬村に移り住み、昨年に続いて参加した無職の小河哲朗さん(68)は「芽吹いたばかりの緑と残雪の中を歩くのが気持ち良かった」と話していた。
一帯は昨年11月、県北部を震源とする地震に見舞われたが、白馬山案内人組合によると、これまで登山道への影響は見つかっていない。雪に覆われて確認できない場所は随時点検を進めていく。