福井県おおい町出身の直木賞作家、故水上勉さんが収集した絵画などを並べた企画展「須田剋太(こくた)展」が、同町岡田の若州一滴文庫で開かれている。絵画のほか、故須田さんが水上さんに宛てた手紙などの資料計約30点を展示している。8月10日まで。
須田さんは故司馬遼太郎さんの「街道をゆく」の挿絵を手掛けたことで知られる。水上さんの友人で越前市の紙すき職人中條榮一さんが、須田さんに和紙製キャンバスを卸していたことを縁に知り合った。
須田さんが水上さんに贈った絵画「越前海」は、グワッシュと呼ばれる水彩絵の具を使って岬と海の風景を荒々しく描いてある。ほかにも、屏風(びょうぶ)に力強く漢語を表した作品や、色とりどりのペンでしたためた手紙などが並び、訪れた人の目を引いている。
7日午後1時から、大阪府の美術評論家中塚宏行さんによる「須田剋太の芸術世界―オブジェと造型」と題した講演が行われる。入館料300円が必要。問い合わせは同文庫=電話0770(77)2445。