大学生が鯖江市河和田地区に滞在しながら芸術活動する「河和田アートキャンプ」の拠点で、昨年から改修されてきた古民家のお披露目セレモニーが14日、同市河和田町で開かれた。学生や地域住民ら約80人が参加し、新たな活動拠点の完成を祝った。
2005年から続く同キャンプは、大学生が夏休みを利用して河和田地区に泊まり込み、作品の制作や、地元住民と連携してイベントを開催することなどで、地域活性化に取り組んでいる。同プロジェクトの総合ディレクターで京都精華大デザイン学部建築学科非常勤講師の建築家、片木孝治さん(45)=京都市出身=が一昨年、活動開始当時から使用してきた古民家を購入。片木さんのデザインで昨年6月、改修に着工し、今年3月末に工事が完了した。
築約120年の古民家は木造2階建て、延べ床面積約500平方メートル。改修費の一部は、「うるしの里かわだ元気再生プロジェクト」の助成を受ける。
古民家ならではの外観を生かしつつ、1階の壁の一部を取り払ってギャラリーを設けたり、土間のスペースを大幅に広げたりと開放的なデザインになっている。むき出しのままの壁や天井などは今後、学生らが自由に手を加え、家全体をギャラリー化していく。新たにつけられた愛称「co―minka」は、従来の呼び名に、公助、互助などの意味を持つ「co」を取り入れ、「開かれた民家」という意味合いを加えた。
この日のセレモニーでは、牧野百男市長があいさつ。「田舎に埋もれた宝を発掘してくれた。河和田のシンボル、地方創生モデルとして全国に発信していきたい」と期待を込めた。片木さんは経緯やコンセプトを説明し、「これからも拠点を中心に、さまざまな人とさまざまな取り組みを行っていきたい」と意気込みを語った。この日は内覧会も行われ、地域住民らが訪れていた。
ことしのキャンプは、活動の中心となる京都精華大の学生メンバーに福井工大の学生約20人が加わり、8月7日から始まる。