越後湯沢駅で乗降する国内外の観光客が利用する湯沢町観光協会の広域観光情報センター=6月、湯沢町

越後湯沢駅で乗降する国内外の観光客が利用する湯沢町観光協会の広域観光情報センター=6月、湯沢町

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北陸新幹線14日開業3カ月 他路線への影響は 上越新幹線・たにがわ減便の湯沢 外国人客万来入り込み増

新潟日報(2015年6月15日)

 北陸新幹線の開業から14日で3カ月を迎えた。開業に伴うダイヤ改正で「たにがわ」が大幅減便となった上越新幹線沿線の湯沢町は、外国人客の存在感が増しつつある。同時に開業したえちごトキめき鉄道では「貸し切り」が予想を上回る快走ぶりだ。一方、北陸新幹線という大動脈を手に入れた妙高市は、夏休みや冬季を本番と見据えて二次交通の整備を急ぎ、開業効果の取り込みを狙う。

 越後湯沢駅にある湯沢町観光協会の広域観光情報センターには、スキー場や湯巡りの情報を求めて国内外の客が訪れる。窓口担当の蕪木(かぶらき)友美さん(36)は「北陸新幹線開業やたにがわ減便があったが、人が大きく減った感じはない」と胸をなで下ろした。センターの4月の利用者は1614人と、前年同月(1618人)並みを維持。町によると、町全体の4月の観光客数は約22万5千人で、前年同月を約6千人上回った。

 逆風ともみえる中での好調は、2009年から本格的に誘致を進めてきた訪日外国人観光客の増加が一因だ。この4月もセンターを利用した国内客が951人と前年同月の7割にとどまるのに対し、外国人客は663人と倍増した。

 駅近くの料理店のおかみ高野美智子さん(59)は「外国人客は、もし抜けたら穴を埋められないほど重みのある存在になった」と説明する。既に4カ国語のメニューをそろえているが、協会の誘致活動で急増したタイ人客向けにタイ語メニューを加える予定だ。

 ただ、協会の上村信男専務理事(65)は「開業した北陸新幹線沿線に国内の関心が集まりやすいのは事実。協会員の一部には北陸新幹線開業以降、国内客が減ったという声もある」と気を緩めない。

 3月には上越、東北新幹線内にポスターを張り、春の観光を初めて発信した。夏には上越新幹線沿線の観光協会で新たな連携組織を作り、首都圏へのPRなどに取り組む。町も観光客の利便性を保つため、冬季の新幹線増便をJRに要望することにしている。

 「たにがわ」が減便された3月は、最も観光客が多いスキーシーズンの最終盤だった。15年冬は、最初から減便された状態でシーズン入りする。上村専務理事は「北陸新幹線が開業しても、駅直結のスキー場の存在など湯沢の強みは変わらない。国内外に発信し、なんとしても埋没は避ける」とした。

◎上越妙高駅に期待高める妙高 書き入れの冬へアクセスを改善

 隣接する上越市に北陸新幹線上越妙高駅ができた妙高市。市によると開業からの3カ月は、スキーと夏のアウトドアとの端境期に当たり、観光客数に大きな変化はなかった。市観光協会の太田善万会長(64)は「自然や雪といった妙高の強みと開業効果がこれからかみ合ってくる」と期待する。

 協会へは、首都圏や北陸、関西からのパンフレット送付依頼が例年より2、3割多く来ているという。

 課題は上越妙高駅に降りてからの移動手段の整備だ。市は4月から長野県の長野市、信濃町とともに、ジャンボタクシーを使って新幹線駅と観光地を結ぶ予約制のライナーを運行。協会は書き入れ時の冬に向け、上越妙高-妙高高原駅間のシャトルバスも必要と市に運行を申し入れている。

 急増する訪日外国人観光客への対応も急ぐ。首都圏から電車で妙高市を訪れる外国人の多くは、JR6社の周遊パスを利用するが、JRから経営分離したしなの鉄道・長野-妙高高原駅間は対象外だ。パス以外にきっぷを買う手間が煩雑との声を受け市は5月、しなの鉄道にJRとの調整を求めた。

 市は一昨年から富山空港を利用する台湾人観光客へのPRを強化するなど、北陸からの人の流れの確立も目指す。観光商工課の早津之彦課長は「新幹線は絶対に追い風」とし、「受け入れ態勢を整え、冬の観光客や、東京五輪の事前キャンプを含めた合宿利用客の増加に結び付けたい」と話した。

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