美人林に展示された「写真の村」による作品。写真がシートにプリントしてある=十日町市松之山松口

美人林に展示された「写真の村」による作品。写真がシートにプリントしてある=十日町市松之山松口

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十日町 美人林に"写真の村" 地元住民らの作品展示

新潟日報(2015年7月13日)

 十日町市松之山の美人林がある下川手集落の住民と、写真家の清水重蔵さん(66)=新潟市北区=を中心とした写真愛好家グループでつくる「写真の村 美人林」が"開村"した。"村民"は美人林と近くの古民家をギャラリーに「わしらの芸術祭」を開き、これまで撮影した作品を展示している。

 緑が濃さを増した美人林。ブナの木々には表情豊かな住民を捉えた畳1枚分ほどの15作品が並び、妻有地域の四季を写した長さ25メートルの幕も張られた。作品を背に村長の田辺広さん(64)=下川手集落総代=は「自分たちが撮った写真を見ていただく幸せを感じている」と喜びを語った。

 始まりは2013年夏。美人林の撮影ツアーに来た清水さんらは、たまたま昼食を同じ場所で取った下川手の住民と知り合った。

 快活な住民を被写体にしたいと始まった交流だったが、清水さんは「私たちがズカズカやって来て撮るだけでなく、住民にも撮ってほしいと思うようになった」と振り返る。

 それから2年後の15年に十日町市と津南町で開かれる「大地の芸術祭」に合わせて、住民が主役の芸術祭を催そうと働きかけた。

 約30世帯の集落にデジタルカメラ23台や印刷機、編集用のパソコンなどを提供。新潟市やその近郊に住む仲間約20人と集落に頻繁に通い、撮影だけでなく、道普請など集落の行事にも参加した。事業費には撮影ツアーの企画や写真集販売で得た収益を充てた。

 当初はそれほど積極的ではなく、カメラの操作も不慣れだった住民も、次第に写したり写されたりが楽しみになり、撮影が生活の一部になっていった。集落の田辺久子さん(62)は「写真を通して共通の話題も増えて、ムラが明るくなった」と話す。

 美人林から300メートルほどの古民家を改装した「写真の家」には、村民が2年がかりで撮りためた約1500枚が壁と天井を埋める。花、風景、子どもたちやお年寄りの笑顔など、集落の暮らしそのものが切り取られている。

 離れて暮らす孫の写真など約20枚を出品した高橋精一郎さん(72)は「感動するね。どれも表情がいい。撮影をまた頑張ろうと思うよ」と目を細めた。

 展示は降雪前の11月8日まで。無料。問い合わせは小野さん、090(3333)1771。

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