星野リゾート(北佐久郡軽井沢町)は27日、全日空系のホテルチェーン「ANAクラウンプラザホテル」のうち、金沢、富山、広島、福岡市内にある4施設を買収すると発表した。4施設はいずれも中心市街地にあり、全国で温泉旅館やリゾート施設の運営権を取得して事業を拡大してきた星野リゾートが都市型ホテルを取得するのは初めて。星野佳路(よしはる)社長は取材に「『都市観光』のニーズは高まっており、今後も全国の地方都市のホテル運営に参入していく」と述べた。
4施設の客室数は、金沢が249、富山が251、広島が409、福岡が320で、いずれも各都市を代表する大型ホテル。4施設の経営権を持つ米国系ファンド子会社のホライズン・ホテルズ(東京)の株式と不動産を取得する。買収額は追加投資も含めて約400億円に上る。買収時期は未定。
4施設を含め全国17都市にあるANAクラウンプラザホテルは、全日空と英国系大手ホテルチェーンの合弁によるIHG・ANA・ホテルズグループジャパン(東京)が運営している。星野リゾートはオーナーとして参画し、買収後も運営体制やホテル名、施設設備などは変わらない。
星野リゾートは、北海道から沖縄まで、全国32の宿泊施設や3スキー場を運営している。星野社長は「温泉地などから都市部に観光客が流れている」と指摘。名所旧跡や大自然を楽しむ従来の観光とは異なり、都市部に滞在して買い物や観光などを楽しむ「都市観光」の人気が今後も高まると見込み、今回の買収を決めたとしている。
星野リゾートは現在、施設の趣向ごとに、滞在型リゾートの「星のや」、温泉旅館の「界」、女性や家族向けの「リゾナーレ」の3ブランドを展開している。星野社長は都市型ホテルを事業の「四つ目の柱」と強調し、将来は長野や松本といった県内都市を含む全国の地方都市に進出する意向。「今回取得した4施設のオーナーとしてまず都市観光客のニーズを把握し、5年、10年、15年と時間をかけて新たなカテゴリーに育てたい」と話した。