多くの観光客でにぎわう復原町並=21日、福井市の一乗谷朝倉氏遺跡

多くの観光客でにぎわう復原町並=21日、福井市の一乗谷朝倉氏遺跡

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新幹線 県内へ誘客好調 大型連休中日 観光地にぎわう

福井新聞(2015年9月22日)

 大型連休「シルバーウイーク」中日の21日、爽やかな秋空が広がった県内の観光地は、多くの人でにぎわった。北陸新幹線の金沢延伸に伴い旅行先として全国から北陸地方が脚光を浴びる中、波及効果が出ているようだ。本県を代表する東尋坊、芦原温泉、大本山永平寺に加え、一乗谷朝倉氏遺跡や県立恐竜博物館も人気を集め、関東方面からの観光客が目立った。

 ■1日で2万人超

 勝山市の県立恐竜博物館は午前8時半の開館前に千数百人が列を作り、ピーク時に約3千人に達した。周辺の道路は約4キロにわたって渋滞。同市滝波町のJAテラル越前勝山中支店に約250台分の臨時駐車場を設け、計6台のシャトルバスが午前9時半から休みなしで往復した。

 マイカーで天橋立(京都府宮津市)などを回って来たという群馬県玉村町の建築士横堀将之さん(34)は「早朝に着いたのですんなり入れましたが、予想以上の人混みで驚きました」と目を見張った。

 常設展の入館料が無料になる「家庭の日」と重なった20日の入館者は2万880人(野外恐竜博物館を含む)に上り、これまでの1日の記録を5千人以上、上回り過去最高となった。竹内利寿館長は「関東方面の入館者は確実に増えている。北陸自体に注目が集まっていることが大きい」と対応に追われていた。

 永平寺町の大本山永平寺には、北陸新幹線の金沢開業後、金沢、石川ナンバーのレンタカーが目立つという。千葉県柏市から家族8人で訪れた会社経営手島優さん(64)は、山中温泉に2泊してレンタカーで観光している。「新幹線で便利になったので、6月にも金沢を旅行しました。永平寺は初めてで楽しみ」と参拝に向かった。

 ■金沢に負けていない

 坂井市三国町の東尋坊に兵庫県からツーリング仲間4人で訪れた桑原翔太さん(22)は「初めて来たけれど、思っていた以上に観光客が多い」と驚いた様子。金沢市で1泊し、帰りに立ち寄った大阪市の家族連れも「北陸新幹線でにぎわっていた金沢に負けていない」と話した。

 東尋坊から2キロほど離れたカフェ「POSSE COFFEE(ポッセコーヒー)」の西友規オーナーは「明らかに今年は県外ナンバーが多い」と、北陸新幹線の宣伝効果を実感した様子だった。

 今年4月、文化庁の日本遺産に認定された鯖街道の最大の中継地「熊川宿」(若狭町)も人気を集め、周辺の道の駅には車がひっきりなしに出入りした。支配人の小堀幹夫さん(59)は「夏休み明けの9月は例年客足が落ちるが、今年は連休で上向いている」と話していた。

 ■ソースカツ丼に行列

 福井市の一乗谷朝倉氏遺跡周辺は真っ赤なヒガンバナに彩られ、唐門付近でのんびりと散策する人が多かった。横浜市の安田魁力(かいり)君(10)颯志君(7)兄弟は、復原町並の武家屋敷前でよろい、かぶとを身に着け、戦国武将気分に浸った。魁力君は「戦国時代にタイムスリップしたみたい。すごく楽しかった」。

 同遺跡保存協会の岸田清会長(68)によると、平日はバスツアー客、連休は個人客が多いといい、「多くの人に感動を与えられるようにしたい」と話していた。

 人波は福井名物のソースカツ丼にも向いた。福井市順化1丁目のヨーロッパ軒総本店は、多いときで50人以上の行列ができたという。22日も定休日返上で営業する。

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