多摩美術大(東京)客員教授で美術家の田窪恭治さん(66)=千葉県習志野市=が、しなの鉄道北しなの線牟礼駅(上水内郡飯綱町)の待合室に飾る壁画を制作し、22日、飯綱町のいいづなアップルミュージアムで完成披露会を開いた。田窪さんや、峯村勝盛町長、しなの鉄道(上田市)の関係者ら約50人が出席し、町のシンボルとして町民や観光客に親しまれることを期待した。
田窪さんが今月1日から約3週間、町内に泊まり込んで仕上げた。縦1・3メートル、横7メートルの大作。田窪さんが国内外で手掛けた作品の中で、10番以内に入る大きさという。リンゴ畑を題材に、彩り豊かなクレヨンのような画材を使って「リンゴの香りが漂い、風に揺れているような勢いがある存在に仕上げた」。
田窪さんは披露会で「完成を機に、リンゴと飯綱町のイメージを全国、世界に発信していってほしい」と強調。町内産のリンゴを詰めた段ボール箱や、町内限定の切手に壁画の一部をデザインとして使用することを提案した。
峯村町長は「鑑賞する目的だけに駅を訪れる人もいるだろう。きょうを文化、美術の香りがする町のスタートにしたい」と感謝。しなの鉄道の藤井武晴社長は「牟礼駅がにぎわい、町が元気になるきっかけになる」と喜んでいた。10月下旬に牟礼駅の待合室に展示する予定だ。
愛媛県出身の田窪さんは、フランスで礼拝堂の再生として内壁にリンゴの絵を描いた経験がある。今年3月、北陸新幹線(長野経由)金沢延伸に伴う北しなの線開業により、牟礼駅の駅業務をしなの鉄道から受託した町が、魅力ある駅づくりとして壁画制作を田窪さんに依頼していた。