立山連峰が壁に描かれた菊水湯。県出身者を中心に好評だった=東京都文京区本郷

立山連峰が壁に描かれた菊水湯。県出身者を中心に好評だった=東京都文京区本郷

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「立山」そびえる銭湯、今月末閉店へ 東京「菊水湯」

北日本新聞(2015年9月28日)

 浴室の壁に雄大な立山連峰を描いた東京都文京区本郷の老舗銭湯「菊水湯」が、今月いっぱいで閉店する。都内で珍しい絵柄のペンキ絵は客に好評で、富山県出身者には特に親しまれた。店の経営者は「ペンキ絵を立山連峰にしたことをきっかけに、お客さんとの会話が弾んだ」と振り返っている。

 菊水湯は明治中期に創業したとされ、100年以上の歴史がある。近くに住んだ小説家、樋口一葉も生前通ったという。東京大学近くにあり、学生も大勢訪れた。

 経営者は何度か代替わりし、現在は石川県出身の宮本靖彦さん(77)と、妻のひろ子さん(73)が約40年前から切り盛りする。定休日の金曜を除き、毎日午後3時半から翌日午前1時まで営業。来客の中心は高齢者だが、今も一日100人以上が汗を流しに来る。

 ペンキ絵は雪化粧した立山連峰を富山湾越しに望んだデザイン。仕切りをまたぎ男湯からも女湯からも眺められる。富山の景観を都内でPRするため、塗装経費を補助する富山市の事業を活用し、3年前に塗った。現在菊水湯を含め8軒に立山連峰が描かれ、本年度内にもう1軒増える見通しだ。

 絵の反響は大きかった。あまり会話しなかった客が、ペンキ絵を見て「富山出身なんだよ」とひろ子さんに笑顔で話し掛けてくることもあった。「多くの人と話が弾んでうれしかった。立山の絵のおかげ」とひろ子さん。富山への愛着が強まり、観光面の盛り上げに一役買おうと、店では富山の観光パンフレットを客に配っている。

 都浴場組合によると、都内の銭湯はピークだった2687軒(1968年)から減少を続け、8月末で636軒になった。店主の高齢化や施設の老朽化が主な理由という。菊水湯も同じ状況で、靖彦さんが体調を崩したことも閉店の決め手になった。ひろ子さんは「寂しいし、お客さんに申し訳ない」と残念そうに語る。「時間ができたら富山をゆっくりと旅したいね」と話している。(東京支社編集部・土居悠平)


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