「病人たちを癒すキリスト」(1648年ごろ)=27.8×38.8センチ

「病人たちを癒すキリスト」(1648年ごろ)=27.8×38.8センチ

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光と影の魔術に触れる 「レンブラント版画展」

福井新聞(2015年10月14日)

 17世紀オランダを代表する画家、レンブラント・ファン・レイン(1606~69年)は、作品の陰影表現の巧みさから「明暗の巨匠」と称された。福井県福井市の県立美術館で開催中の「レンブラント版画名品展」では、オランダ・アムステルダムのレンブラントハウス美術館が所蔵する貴重な版画約30点を展示。モノトーンの世界でありながら、高い絵画性を備えた光と影の"魔術"に触れることができる。

 「明暗の巨匠」などの異名を持つレンブラントは、光の探究や陰影表現、明暗法を生涯、追求した。エッチングや複合技法による銅版画でも多くの作品を残し、世界3大版画家の一人に数えられる。

 レンブラントがアムステルダムで住んでいた家は現在、「レンブラントハウス美術館」として公開され、居住空間やアトリエが当時のまま再現されている。同展では、美術館内部の様子を撮影した大型の写真パネルや、18世紀初頭にフランスで使用された木製の版画印刷機(東京芸大大学美術館所蔵)が作品とともに並び、現地にいるような感覚で鑑賞が楽しめる。

 ひときわ目を引くのが、48年ごろに制作された「病人たちを癒すキリスト」。聖書の中のキリストが起こした奇跡の場面が複数組み合わせて描かれている。人物の巧みな構図と、色彩を持たない版画の微妙な明暗表現が高い完成度で融合した傑作。当時から非常に高価で別名「百グルデン版画」といわれる。

 レンブラントは自画像や肖像の名手としても知られる。同展では「石の手摺(てす)りにもたれる自画像」(39年)を展示。この年はレンブラントが家を買い、絵画の代表作「夜警」の制作注文を受けるなど飛躍の年だった。印象的なポーズは、15~16世紀の画家ラファエロとティチアーノが描いた肖像画に着想を得たもので、過去の大巨匠に匹敵する芸術家であることの自負が表れている。同美術館でも数点しか所蔵していない銅版(原版)1点も並ぶ。

 レンブラントは1647年ごろから、東インド会社を通じてもたらされた東洋の紙を使い始めた。それらの中の和紙は越前和紙である可能性が指摘されている。同展ではその一つとして「樹の下で祈る聖フランシスコ」(57年)を紹介。和紙独特の色合いが暖かい光の効果を高めている。県による和紙刷りのレンブラント版画作品の調査内容も解説している。

 11月8日まで(19、26日休館)。観覧料は一般500円、高校大学生400円、小中学生300円。同時開催の「大永平寺展」(福井新聞社共催)観覧券で鑑賞できる。24日午後1時半から、中高生を対象にした銅版画の制作と越前和紙への刷り体験がある。刷りの様子を見学できる。問い合わせは県立美術館=電話0776(25)0452。

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