自身が漉いた奉書紙を使った大久保さんの作品を鑑賞する岩野さん(右から4人目)=21日、福井県越前市の卯立の工芸館

自身が漉いた奉書紙を使った大久保さんの作品を鑑賞する岩野さん(右から4人目)=21日、福井県越前市の卯立の工芸館

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自閉症作家が越前市で個展 独特色彩の和紙折り染め

福井新聞(2015年10月22日)

 独特の色彩感覚で知られる自閉症のアーティスト大久保友記乃さん(26)=北海道旭川市=による和紙折り染めの個展が21日、越前市の卯立の工芸館で始まった。人間国宝の岩野市兵衛さん(82)=越前市大滝町=が漉(す)いた奉書紙を使った作品など19点が並ぶ。11月23日まで。

 友記乃さんは、3歳の時に言語の発達の遅れや多動から重度の自閉症と診断された。8歳から絵画造形教室に通い、色を重ねた後にひっかく技法のスクラッチや和紙染めを経験。2006年にはスクラッチ作品がカナダのモントリオール国際芸術祭で世界芸術賞を受賞した。

 今回の「友記乃の不思議な世界2015」(福井新聞社後援)は、岩野さんの紙を使う有能な作家について知ってもらおうと、紙の文化博物館と卯立の工芸館が主催。大久保さんが県内で本格的な個展を開くのは、13年に福井市など3会場で開催して以来となる。

 19点のうちの10点は、岩野さんによる生漉(きず)き奉書紙を使用。今回は青系の色を多く使った作品が中心となっている。

 この日は岩野さんが会場を訪れ、作品を鑑賞した。才能を高く評価し、2年前から大久保さんに和紙を提供する岩野さんは「彼女にしかできない作品だ。さらに少しずつ前進していると感じた」と話していた。

 大久保さんは31日~11月7日、会場を訪れる予定。入場は、高校生以上200円、小中学生100円。火曜休館(11月3日は開館)。問い合わせは同工芸館=電話0778(43)7800。

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