中野市赤岩の谷厳寺(こくごんじ)本堂の軒先に、柿すだれが今年もお目見えした。雲間からのぞく暖かな日差しに、鮮やかなオレンジ色が輝いていた。
境内の木から収穫した渋柿を使い、住職の母の萩原喜代子さん(94)と近くに住む女性(75)が毎年こしらえている。豊作だったという今年は、1600個余りの柿の皮を手作業で一つ一つむいた。「秋の仕事だね」と萩原さんらが実を18個ずつくくったひもは90列もの柿のカーテンとなり、境内を彩っている。鳥などに食べられないようにネットで囲み、1カ月ほど乾燥させる。表面に白く粉が吹いて、果肉があめ色になると食べごろだ。
「親戚や知り合いにもお裾分けする。わらを敷いた箱に入れれば一冬はもつんだよ」と萩原さん。同寺名物の桜並木が葉を落とした中、冬支度が進む。