タケフナイフビレッジの職人(中央)から研ぎのポイントなどについて教わる北村さんとその知人

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妻に贈る包丁を作る若い男性続々 ナイフビレッジ体験教室が人気

福井新聞(2015年12月11日)

 タケフナイフビレッジ協同組合(福井県越前市余川町)の包丁作り体験が、人気を集めている。所要6時間、1万5千円。お世辞にも手軽とはいえないが、結婚式や誕生日に妻へ手作りの一本を贈ろうという男性が後を絶たない。

 同組合は越前打刃物の良さをPRするため、2007年4月に専用工房を設け、刃物作りの体験教室を開いている。「包丁教室」はメニューの中で最も本格的なもので、組合の職人が指導役となり、鍛造、焼き入れ、研ぎといった"フルメニュー"を体験してもらう。

 1日の受け入れは原則2人まで。ほかにキーホルダー作りなどの手軽な体験もあり、包丁作りの参加者は07年20人、08年16人と当初は少なかったが、ここ5年ほどの間に人気が上昇。14年は340人、今年は1~11月で259人が訪れた。

 近年の参加者の8割前後は20、30代の男性で、その大半が結婚式や誕生日に妻へ包丁を贈るために訪れているという。県外組が多くを占める。

 ブレークのきっかけとなったのは2010年2月、動画サイト「ユーチューブ」にアップされた動画。兵庫県の男性が新婦に包丁をプレゼントするためナイフビレッジを訪れ、完成させるまでを収めている。まだ暗いうちに自宅を出発する場面から始まるロードムービー風の動画で、新郎からのサプライズとして結婚式で上映されたという。

 「結婚式で渡すという人が続くなと思っていたら、その動画がきっかけだった」。同組合事務局の戸谷しのぶさん(46)は振り返る。今では「サプライズ 包丁」でネット検索すると、同じような動画が数多く並ぶ。

 11月中旬の平日に訪れた北村速人さん(28)=京都府京都市=は、今夏に結婚した妻の誕生日に包丁を贈るため会社の同僚と訪れた。動画でナイフビレッジのことを知ったという。6時間に及ぶ体験は、予想以上の重労働だったとし「刃物を作る職人さんはすごいなと思った。福井のいいとこを知った。SNSで発信したい」。

 同組合の八田正仁事務局長によると、鍛造が体験できる施設は珍しく、婚礼シーズン前は特に予約が集中するという。同事務局長は「新婦へのプレゼントとしては、簡単に作れないところがいいのかもしれない。若い人にアピールできる効果は大きい」と話している。

 体験教室は3日前までに予約が必要。問い合わせは、同組合=電話0778(27)7120。

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