福井県越前市内で配られた引き札がずらり並ぶ企画展=越前市武生公会堂記念館

福井県越前市内で配られた引き札がずらり並ぶ企画展=越前市武生公会堂記念館

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明治、大正期の「引き札」を展示 越前市武生公会堂記念館

福井新聞(2015年12月25日)

 明治、大正時代に福井県越前市内の商店が開店や売り出し時に使った「引き札」の展示会が来年2月14日まで、同市武生公会堂記念館で開かれている。同記念館による企画展で、旧武生市のまちなかと、旧今立町粟田部地区の店を中心に、商店資料なども含め77点を展示。当時の商業の様子や街のにぎわいがうかがえる。

 企画展は「引き札にみる商いのまち越前」。県立歴史博物館や市内の商店などが所蔵する、正月用の引き札を中心に展示している。

 引き札の大きさは、小型のものだと縦26センチ前後、横37センチ前後のものが多い。化学染料が使われていて、鮮やかな色合いが特徴。大阪の二つの大きな印刷所が全国各地の印刷所に見本帳を送って注文を取り、各地の印刷所が店名や商品名を刷るというシステムが確立されていた。

 描かれているのは、花鳥風月や店頭の風景、歴史上の人物などバラエティー豊か。正月用とあって縁起物も多く、大黒天が大福帳を広げ電話で注文を聞いているユニークな図柄もある。中央に商店名が入った暦もあり、現代のカレンダーと同様、年始年末に顧客へ配っていたことが分かる。

 呉服屋や料理屋、小間物屋、薬屋などさまざまな店が引き札を配っていた。「小間物、下足商、薬、学校用具、洋傘、かるた、葬式花」など取り扱っている品目の豊富さが目を引く店もある。このほか、県内の商店や会社を紹介する広告として明治時代に作られた大きなすごろくも展示している。

 1月17日までが前半。前後半で一部、展示物を入れ替える。市文化課の南谷弘幸さん(36)は、引き札はご用聞きの際に手渡していたとし「人と人の距離が近かった、当時の商売の様子に思いをはせてもらえれば」と話している。

 観覧は無料。休館は毎週月曜、祝日の翌日で、年末は27日まで。年明けは1月5日から。

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