「講談・上田城物語」のパネルの試作品を手にする益子さん=8日、上田市

「講談・上田城物語」のパネルの試作品を手にする益子さん=8日、上田市

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おもてなし準備、上田で着々と 「真田丸」10日放送開始

信濃毎日新聞(2016年1月9日)

 真田信繁(幸村)の生涯を描くNHK大河ドラマ「真田丸」の放送開始が10日に迫り、真田氏ゆかりの上田市で観光客のおもてなし準備が進んでいる。上田駅から上田城跡公園へ向かう市街地にある松尾町商店街の振興組合は8日、上田城築城から真田氏が城を去るまでの物語を講談調にまとめた「講談・上田城物語」のパネルの試作品を完成させた。

 まとめたのは同市の池波正太郎真田太平記館顧問を務める益子輝之さん(77)=上田市常田=で、パネルは計12枚の予定。商店の店頭に展示し、駅から同公園に向かう観光客に足を止めて読んでもらう趣向だ。益子さんは「観光客はドラマ性のある楽しい読み物を求めている。史実と虚構を分け、講談で表現したので気楽に楽しんでもらえるのではないか」と話している。

 同商店街の一角には、15日に観光案内所「まちなか情報いいね館」がオープン。パネルの内容と同じパンフレットを無料配布する予定だ。

 上田市街地では、うえだ原町一番街商店会に3月オープン予定の交流スペース「真田十勇士ガーデンプレイス」の建設が進み、海野町商店街振興組合は観光客に喜ばれる記念撮影スポットを作ろう―と撮影の背景にする「だまし絵」の原画を募集している。

 中心市街地の商店主でつくる「上田商業21世紀会」の畠中俊哉会長(55)は「地元の人と触れ合い、上田の人を知ってもらう機会をつくりたい。商店街にしかできない心のおもてなしをしたい」と意気込んでいる。

 大河ドラマ化に向けては、2009年7月に作家火坂雅志さん(故人)の小説「真田三代」の連載が信濃毎日新聞で始まったのを一つのきっかけに、上田市民有志らが「実現を願う会」を結成。署名集めをしてNHKに働き掛けるなどした。

<屋敷陽太郎チーフプロデューサーに聞く>

 NHK大河ドラマ「真田丸」の放送開始を前に、制作統括の屋敷陽太郎チーフプロデューサー(45)が信濃毎日新聞の取材に答え、「お世話になり舞台にもなっている長野のみなさんには、より楽しんでもらいたい」と語った。

 屋敷さんは、放送を見るだけでなく、舞台の土地を訪れることで一層楽しめるのが大河ドラマの魅力と強調。「上田の街並みも、真田幸村(信繁)の気持ちで歩いてみると、違った風景に見えてくる。多くの人に長野のことを知っていただく機会になる」。新たな史料の発見や、信繁という名前の浸透につながることも期待する。

 長野、上田両市をはじめ、県内各地の風景があしらわれるオープニング映像は、自身の城を生涯持たなかった信繁が「理想の城を作ったとしたら」とのイメージで制作した。「実際にあるものと、新しく作ったものを組み合わせて、『手触りのある感じ』になった」と自負している。

 信繁本人の史料は少なく、その生涯は謎に満ちているが、「家族のことは随分(史料が)残っている」と指摘。「講談や歌舞伎、地元の言い伝えなども盛り込んでいくのがドラマ。利用できるものは全て利用したい」とする。

 ドラマは、真田家が仕えた武田氏の滅亡から始まる。信繁ら真田一族は、知略を尽くして動乱の世を生き抜いていく。「小さな選択の積み重ねが、後に大きな意味を持つことがあるのは、どの時代にも通じる」と屋敷さん。「ハラハラ、ドキドキ見ていただければ」

 ドラマで描かれる約400年前と現代で共通するのは「人の心」と繰り返す。「良い人間ドラマを作りたい。今の暮らしが築かれた背景を考える機会になればいい」と語った。

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