鋳型に溶けた合金を流し込む職人=老子製作所

鋳型に溶けた合金を流し込む職人=老子製作所

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心意気新たに梵鐘「初吹き」 高岡・老子製作所で鋳込み

北日本新聞(2016年1月13日)

 国内トップシェアの梵鐘(ぼんしょう)メーカー、老子製作所(高岡市戸出栄町、老子秀平社長)は12日、同社工場でことし初めての鋳込み作業「初吹(はつふ)き」を行った。職人たちは真っ赤に溶けた合金を鋳型に流し込み、高岡銅器の伝統を受け継ぐ心意気を新たにした。

 鋳込んだのは茨城県常陸大宮市にある臨済宗の松吟(しょうぎん)寺(松浦好道(こうどう)住職)が発注した高さ約1・8メートル、口径約1メートル、重さ約1240キロの大梵鐘。初吹きで1000キロを超える釣り鐘を扱うのは十数年ぶりという。

 この日は松浦住職と檀家ら約10人が工場を訪れ、鋳型に刻まれた文字や紋様を確認し、読経した。職人たちは約1200度まで熱して溶けた合金を「取鍋(とりべ)」と呼ばれる容器に移し、鋳込みに適した約1100度まで下がったタイミングで鋳型に流し込んだ。

 寺には1656(明暦2)年に水戸藩初代藩主・徳川頼房の寄進で建てられた鐘楼があったとされるが、現在では失われており、再建に合わせて梵鐘を製作する。鐘楼は梵鐘をつるす施設で、9月に完成する。

 今回の梵鐘には寺の復興だけでなく、青少年の健全育成や世界平和など計7つの願いを込めた。松浦住職は「鋳込みの場に立ち会えて感無量だ。参拝者が自由に突くことができる鐘にしたい」と話した。

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