13、14日の2日間、湯沢町の苗場スキー場で開かれたアルペンスキーワールドカップ(W杯)には、国内外から延べ1万人以上が訪れた。競技や地元の様子は国内外のテレビなどで伝えられた。同町の観光関係者は「W杯をスノーリゾート・湯沢の再興につなげたい」と意気込む。
「スキーの力で、地域経済を豊かにしたい」。W杯を無事終えた田村正幸町長は決意を新たにした。
町の観光はスキーに支えられてきた。ピークだった1992年度の観光客は1千万人を超え、このうちスキー客は800万人余りを占めた。しかし近年は娯楽の多様化などにより、観光客は400万人、スキー客は250万人前後にとどまっている。スキー客の減少が、観光客全体の減少につながっている格好だ。
町観光協会の上村信男専務理事は「オールシーズンリゾートを目指しているが、集客の核となるのはあくまで雪」と話す。町の観光再興には、スキー客の回復が欠かせない。
町の観光関係者からはW杯を「観光再興の契機にしたい」と声が上がる。観光協会会長の小林庄一・ホテル双葉社長は「W杯ができるレベルのスキー場があるという、町のイメージ、ブランド力の向上につながった」と強調。「国内のみならず、スキー人気が高い欧州にも湯沢をPRできた」と振り返る。
2018年には韓国・平昌で、22年には中国・北京で冬季五輪が開かれるため、今後アジアでの「スキーブーム」が予想される。小林社長は「雪質やアクセスの良さとともに、W杯を成功させた町の『信用』を売り込みたい」と意欲を見せる。観光協会は来年度以降も、パンフレットなどでW杯開催の実績をアピールしていくという。
暖冬ながら、ことし1月の町のスキー客は、前年度比の106%(速報値)。上村専務理事は「W杯でメディアに取り上げてもらう機会が3、4倍に増えた。そうした宣伝効果もあるのではないか」と話した。