再生した町屋の表通りに面する2階建て部分にオープンした「岩船家」=村上市大町

再生した町屋の表通りに面する2階建て部分にオープンした「岩船家」=村上市大町

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村上市 劇的町屋リニューアル 地元食材の和菓子店 伝統工芸実演堆朱店

新潟日報(2016年3月9日)

 村上市大町に残る明治時代の町屋(2階建て一部平屋造り)1軒が改修され、地元食材を使った和菓子店「岩船家」と村上木彫堆朱の「漆工房じえむ」がそろってオープンした。現在行われている「町屋の人形さま巡り」で村上を訪れた観光客らで早速にぎわっている。地元関係者は、商店街に活気を取り戻す起爆剤にと期待を寄せている。

 町屋は近隣に住む阿部誠一さん(69)の父方の実家で、1893(明治26)年に建てられた。阿部さんの祖父や父が畳店、かき氷店などを営んでいたが、その後は改修を重ねて、車庫や物置として利用してきた。阿部さんは「観光客に商店街を訪れてもらい、活気を取り戻すことに一役買いたいと思った」と改修を決めた経緯を語る。

 改修には市の景観形成助成金を活用。歴史ある城下町の景観を取り戻すため商店などの改修、改築に補助金を拠出する市民グループ「むらかみ町屋再生プロジェクト」の協力も受けた。

 コンクリート製だった屋根瓦を大和瓦にし、外壁を覆っていたトタンを木材に取り換えるなどして、町屋の外観を再生した。

 町屋の2階建て部分に完成した岩船家は、市内でコメ関連商品を製造販売している「やまとのうさん」が運営。近くにある寺院「十輪寺」にちなんで名付けた「十輪寺団子」が売りで、あんは村上茶や地元のしょうゆを使った。平山貴士さん(31)は「町屋の雰囲気を生かした落ち着きある店構えにした。なじみの店として商店街に根差していきたい」と話した。

 平屋建て部分を改装した漆工房じえむでは、村上木彫堆朱を販売するほか「彫り」の実演を見学できる。皿やぐい飲みなど伝統的な堆朱や、かわいらしいデザインが特徴の若い人向けのアクセサリーが並ぶ。店主で堆朱職人の鈴木都さん(38)は「歴史が漂う町屋で伝統工芸の堆朱の店を開くことができてうれしい。若い人にもぜひ来てほしい」と呼び掛けた。

 村上商工会議所の板垣昭彦専務理事(57)は「商店街に明るさを取り戻すきっかけになればありがたい。今回の事例を先駆けとして後に続く人が出てほしい」と期待を込めた。

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