上田市二の丸の市立博物館で開催中の企画展「所蔵品が語る真田三代の活躍した時代」で、戦国武将・織田信長からの拝領品として上田藩主・松平家に伝わる重要文化財「韋胴服(かわどうふく)」が特別展示されている。倉沢正幸館長は「信長が野戦の際などに実際に着ていた貴重な品。めったに公開できないので、この機会にぜひ見てほしい」と話している。
同館によると、胴服は1568(永禄11)年、信長が近江(滋賀県)の六角氏を攻めた時、参戦した松平家の先祖、松平信一の活躍に感激して、自ら着ていたものを脱いで与えたと伝わる。風雨をしのぐためによろいの上から着る着物で、高さ約90センチ、幅約130センチ。鹿の皮で仕立てられており、温かく柔らかい。
表は全体に「小紋染(こもんぞめ)」と呼ばれる白い小さな模様が染めてあり、小紋染の最古例の一つ。室町時代に作られた鹿革製の服飾資料としても貴重という。前後の計7カ所に白鹿革で「五三桐(ごさんのきり)」の紋が縫い付けてあり、松平家の家紋の元になったと言われる。年間公開日数が制限されており、普段は収蔵庫に保管している。
松平家が上田藩を治めたのは1706(宝永3)年から明治維新まで。会場を訪れた団体職員宮入真奈美さん(東御市田中)は「信長の体格がなんとなく想像できる」と話していた。
企画展と特別展示は27日まで。午前8時半〜午後5時(入館は午後4時半まで)。入館料は一般300円、高校・大学生200円、小中学生100円。問い合わせは同博物館(電話0268・22・1274)へ。