「さくら祭り」を開いている伊那市高遠町の高遠城址(じょうし)公園で12日、同市と山梨県韮崎市の文化交流会があった。戦国武将の武田氏の縁で、両市の交流会は旧高遠町時代から続き42回目。満開のタカトオコヒガンザクラの下、双方が舞踊や詩吟、大正琴などを披露した。
武田勝頼は戦国時代に高遠城主となり、その後現在の韮崎市に新府城を建てた。1978(昭和53)年には高遠町が同市にタカトオコヒガンザクラを寄贈。伊那市の関係者が毎秋、韮崎市の祭りに参加するなど交流が続いている。
伊那市の「孤軍高遠城伝承会」は、勝頼の弟で織田軍の侵攻で自害した盛信の悲劇を描いた舞踊を演じた。会長の井出はつみさん(68)=伊那市高遠町=は「今年の桜は赤みがかって素晴らしく、きれいな場所で踊れた」と喜んだ。
「さくらさくら」などを演奏した木村流大正琴伊那支部の指導師範の麻生由紀子さん(71)=同市西町=も「大正琴の音色が桜の雰囲気によく合っていた」。甲州ゆかりの踊りを披露した韮崎市文化協会舞踊部の生山(おいやま)貞子部長(84)は「長く交流が続き、(両市の)関係も深くなっている」と話していた。