県内の農家レストランの先駆けである高儀(たかぎ)農場(新潟市北区新崎)は、市の国家戦略特区(農業特区)の規制緩和を活用した市内2軒目のレストラン「ラ・トラットリア・エストルト」を完成させ、14日、オープニングセレモニーを開いた。従来の「移動販売」の形からのリニューアルで、5月から特産のフルーツトマトを生かしたメニューなどを提供する。社長の高橋治儀(はるよし)さん(62)は「採れたてのトマトの甘みや、野菜のおいしさを実感してほしい」と話している。
開業するレストランは敷地面積約950平方メートル、延べ床面積約350平方メートルの木造平屋建て。97席の客席を準備した。県産木材を使ったウッドデッキを備えており、田園風景を眺めながら食事ができる。フルーツトマトを使ったサラダや米粉パスタなどを提供する。高橋さんの長男の真之介さん(34)がシェフとして腕をふるう。
社長の高橋さんは新たな産業に挑戦しようと、2000年に農場内にイタリアンレストランを開業した。地元の女性客などに人気だったが、農地法などに抵触したため休業。13年、調理済みの料理をキッチンカーで温めて、鉄骨ハウス内で客に提供する「移動販売」の形式で再開した。
14年に新潟市は国の農業特区に指定され、農家レストランを農用地に設置することが可能になったため、高橋さんは店舗を常設化することにした。
14日のセレモニーには篠田昭市長ら関係者約40人が参加し、開業を祝った。篠田市長は「高橋さんはこれまで情熱を持って努力し、素晴らしいレストランを作ってくれた。これからの若い農家が背中を追って学べる存在だ」と語った。高橋さんは「長年の思いがかなってうれしい。若い人もやってみたいと思えるような新しい農業を育てていきたい」と話していた。
レストランは23日のみG7農相会合開催記念としてプレオープンし、5月14日にグランドオープンする予定。当面はランチ営業が中心で、火曜定休。