伐採した場所で景色を眺める山崎誠さん(左)と典子さん

伐採した場所で景色を眺める山崎誠さん(左)と典子さん

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南ア聖岳と遠山川、開けた眺望 飯田・遠山郷の景観整備

信濃毎日新聞(2016年4月26日)

 飯田市の遠山郷観光協会は、南アルプス聖岳(3013メートル)頂上と同市南信濃木沢の遠山川の谷底を一望できる景観を整備するために、所有者の協力を得て、木沢の山腹にある私有地のスギを切った。市美術博物館専門研究員の坂本正夫さん(68)によると、南アは年間4ミリ隆起している「変動渓谷」。谷底から山頂までの眺望が良くなり観光資源化が期待される。

 坂本さんが「一目で見渡せる変動渓谷としての標高差が日本一」と名付けて、昨年12月に民間の「日本一ネット」(横浜市)に申請し登録された。標高差は、遠山川の谷底を510メートルとして、2503メートルと算出。同月下旬、坂本さんと遠山郷観光協会の菅原槙一さん(41)が所有者の山崎誠さん(84)に会い、伐採について快諾を得た。

 同観光協会が地元の森林伐採業者に依頼し、高さ10メートル以上の木々約10本を伐採。その後、この地を訪ねた山崎さんが「遠山川の上流部分が見えなければ、南アの良さは伝わらない」と指摘し、4月上旬にさらに10本を切った。

 山崎さんの自宅から約50メートルの場所。このほど妻の典子さん(79)と2人で訪れ、遠山川と聖岳を交互に見つめた。典子さんは「見慣れた景色だが、改めて見るときれい」。山崎さんの友人からは訪れたいと連絡があったといい、山崎さんは「県内外から多くの人に立ち寄ってもらいたい」と力を込める。同観光協会は今後、付近に看板を設け観光名所に育てていく計画だ。

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