福井県ふるさと文学館の新収蔵品展が6月26日まで、福井市の同館で開かれている。福井ゆかりの作家がたどった足跡を、直筆の資料などで紹介している。
昨年2月の開館後、収集した108点を展示している。今年は詩人、児童文学者として活躍した山本和夫さん(小浜市出身)の没後20年に当たることから、山本さんの愛用品や原稿を数多く並べた。従軍の際にタイ、ビルマの様子を記した手帳、旅先には欠かさなかったというスケッチブックもある。
山本さんらが理事に名を連ね、終戦直後の福井県文学界を盛り上げた「北陸生活文化協会」の資料を集めた一角では、故三好達治さんらメンバー間で交わされた貴重な書簡を見ることができる。
故水上勉さんの本の挿絵を数多く手がけた司修さんのコーナーには、水上さんの「父と子」「停車場有情」といった作品に使われた絵が所狭しと飾られている。福井新聞連載「炎の如く 由利公正」を執筆した故大島昌宏さんは、新田次郎文学賞を受賞した「九頭竜川」の草稿をチラシの裏に書いているなど、作家の意外な一面も垣間見える。