パラグライダーの観光フライトで空を飛ぶ記者=上越市吉川区の尾神岳

パラグライダーの観光フライトで空を飛ぶ記者=上越市吉川区の尾神岳

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「観光地」巡り パラグライダー(上越市) 頸城の風受け絶景満喫

新潟日報(2016年5月23日)

 上越市の観光サイトで「パラグライダー2人乗り遊覧飛行」を見つけた。遊園地の絶叫マシンは避けてきたが、空を飛ぶ経験はそうそうできない。待っていたのは絶景と日常生活では得られないドキドキだった。

 上越妙高駅から車で約1時間。吉川区の尾神岳(757メートル)を拠点にパラグライダースクールを運営する早野伸一さん(47)を訪ねた。山に向かう公共交通は乏しく、北陸新幹線利用者はレンタカーが現実的だ。

 天候は晴れ。風向き次第で飛べないことも多いが、この日は「いいコンディション」(早野さん)。事務所で料金8千円を払い、標高650メートルの離陸場に移動した。

 目の前の風景は日本海まで遮るものが何もない。「ここを飛ぶのか...」。心拍数が上がった。ヘルメットをかぶり、空中で椅子のように使う用具「ハーネス」を担ぐ。一緒に飛ぶ早野さんとは用具でつながり、準備完了だ。

 操縦はフライト歴25年の早野さんに任せて、ハーネスに座っていればいい-。頭では分かるが、膝が震える。風を待っている間、飛行を終えた人たちが「急に強い風が吹いたなあ」と笑顔で報告する。おいおい、怖がらせないでくれ。

 「さあ、行きましょう!」。早野さんの声で、事前に教えられた通りに走りだした。すぐに後ろに引っ張られるような感覚。パラグライダーが風をつかまえ、ふわっと体が浮いた。空中散歩の始まりだ。

 上昇気流に乗って高度が上がる。下の水田や家々が絵のように広がった。遠くには佐渡も見え、向きが変わると残雪の火打山だ。雲が目線の高さにあることに気付くと、怖さを通り越して笑ってしまった。

 空では大きなブランコに乗っている感じで、思ったほど揺れない。スピードもあまり感じず、むしろゆったりという感覚だ。景色や飛び方の説明など、すぐ後ろの早野さんとの会話も楽しい。

 鳥になった気分で満喫していたら、「少し揺らしてみましょうか」の声。体が右に左にと傾く。手荒なサービスに、「うわー」と声を上げてハーネスを握り締めた。落ち着いたところで尾神岳の麓に着陸。無事に降りた安心感で全身の力が抜けた。飛んだ時間は15分ほどだったが、それ以上に長く感じた。「いい勇気でした」。早野さんとの握手が心からうれしかった。

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