土田さんの料理店で提供している「鹿のロースステーキ」

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松本の飲食店、ジビエに力 鹿肉流通「地元の食材」に

信濃毎日新聞(2016年6月8日)

 農作物の食害が深刻なニホンジカを利用した野生鳥獣肉(ジビエ)料理を取り扱う飲食店が、松本市内で増えている。市内の飲食店などでつくる「信州ジビエ普及実行委員会」によると、少なくとも13店舗。捕獲数の増加に合わせて徐々に鹿肉が流通するようになったためとみられ、「地元の食材」として売り出す店もある。

 普及実行委の事務局で、鹿肉の加工・販売をする山崎商店(松本市)によると、営業を始めた2012年には、鹿肉を卸す市内の飲食店は2店舗だけだった。現在は普及実行委に加盟する13店舗全てに提供している。

 県松本地方事務所のまとめでは、松本地域で有害鳥獣として捕獲されたニホンジカは05年に474頭だったが、その後増えていき、14年には6倍余の2996頭になった。山崎商店代表の山崎悟さん(41)は「捕獲数が増え、鹿肉を地元の食材として使いたいと考える飲食店が増えてきた」と話す。

 川魚や山菜などの地元産食材を使った料理を提供している料理店「さくら咲く」(中央2)は11年から鹿肉料理の提供を始めた。店主の土田考康さん(42)によると、以前は鹿肉は臭みがあるといわれ、今でも敬遠する客がいるものの、適切な加工や調理によって肉の臭みや硬さはなくなるため、人気メニューの一つになっているという。

 県外の客が地元らしい料理として鹿肉料理を食べることもあり、土田さんは「地元の食材としてのニーズがあると感じる。加工や流通、消費など鹿肉を取り巻く状況を底上げしていく必要があるのではないか」と指摘する。

 鹿肉を使った料理を提供しているフランス料理店「NOMDOS(ノンド)」(中央1)の宮城弘治店長(34)は、熱加減が強いと肉が硬くなるなど調理が難しい面があるとしつつ、「一度食べると何度も食べに来てくれる客もいて、人気はある」と手応えを話す。

 「鹿肉を食べる文化が地域に定着してほしい」と山崎さん。県松本地方事務所は「鹿肉文化は適切な調理、加工ができる人がいて成り立つ。熱意と技術を持った人たちが増えることが普及につながる」(林務課)としている。

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