版画家の野田哲也さんと作品「日記」シリーズ。国際展大賞受賞作など約30点が展示されている=福井市

版画家の野田哲也さんと作品「日記」シリーズ。国際展大賞受賞作など約30点が展示されている=福井市

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版画「日記」シリーズに込めた思い 野田哲也さん、国際展受賞作30点

福井新聞(2016年6月22日)

 日本を代表する版画家で東京芸大名誉教授の野田哲也さん(76)=千葉県柏市在住=の作品展が、福井市のE&Cギャラリーで7月18日まで開かれている。開幕の6月18日に野田さんが来場し、ライフワークの「日記」シリーズに込めた思いなどを語った。

 野田さんは、自身が撮影した写真を使い、木版とシルクスクリーンを併用した技法で手漉(す)き和紙に表現する。28歳で東京国際版画ビエンナーレで大賞受賞後、国際規模の版画展で受賞を重ねた。2014年にはロンドンの大英博物館で個展を開いた。

 熊本県で生まれ育ち、東京芸大、同大学院で油絵を専攻した野田さん。西洋を規範とした教育の中で自分なりの表現をするのが難しかったと振り返った上で、「正直に描いていた小学生のころの絵日記こそ自分の絵だと思った。日常を記録しながら芸術性を考えようと決めた」と説明。大学で浮世絵すり師による講義を受け、少年期から夢中だったカメラで日常を記録した写真と木版画を組み合わせた制作方法を思い付いた。

 作品のタイトルはその日の日付で、自分の心が動かされた出来事を作品として残す。泣きやまなかったり、お気に入りの布団を手放さない娘ら家族を描き、家庭菜園で収穫したトマト、庭先のホースなどの静物も描く。切り取った日常を淡々と描いているようで、画面からユーモアや幸福感がにじみ、時代の息遣いが伝わる。

 今回の展示には、1970年に1カ月ニューヨークに滞在した体験が題材となったものがある。池田満寿夫さん、川島猛さんら芸術家が語り合う作品は色鮮やかでポップアートの影響を感じさせる。池田さんが当時描いた雲を彼の作風を意識して女性の形にして描いた。

 野田さんは「私の作品は現代のブログみたいなもの。生きている感激が込められ、日記だが誰かに見てもらいたいと思っている。生活のリアリティーが作品に反映されていればいいと願っている」と話した。

 同展は、勝山市の荒井由泰さん(アートフル勝山の会代表)が70年代からコレクションしているのが縁で開催。会場には国際展大賞受賞作品4点を含む約30点が並ぶ。

 同ギャラリーは、火、水曜休み。無料。電話0776(27)0207。

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