中央アルプス将棊頭(しょうぎがしら)山(標高2730メートル)直下の西駒山荘を運営する第三セクター伊那市観光は21日、夏山シーズンを前に、ヘリコプターで荷上げ作業をした。同山荘の石室(いしむろ)は、文化審議会が登録有形文化財にするよう今年3月に答申。関係者は「石室の歴史も感じてほしい」と山荘の利用を呼びかけている。
石室は、1913(大正2)年8月に中箕輪尋常高等小学校(現上伊那郡箕輪町箕輪中学校)の生徒ら11人が亡くなった集団遭難を教訓に、15年に麓の地元住民らが造った。現在は隣の宿泊棟で利用者を受け入れている。
21日は悪天候の影響で、予定より約7時間遅い正午すぎに荷上げを開始。伊那市鳩吹公園と山荘を6往復し、網にくるんだ食料や燃料、発電機など計約3・4トン分を運んだ。
西駒山荘管理人の宮下拓也さん(39)=伊那市西町=は「いよいよ(営業が)始まるのでドキドキする。山荘を訪れて遭難の教訓を感じてもらい、山荘の未来に思いをはせてほしい」と話した。
山荘は7月9日~10月10日に営業し、1泊2食8500円、素泊まり6千円。昨年は94日間で1029人が宿泊した。