住民有志がホタルの生息環境に似せて整備したビオトープ

住民有志がホタルの生息環境に似せて整備したビオトープ

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上越・八幡宮公園 ホタルの光まちに再び 住民の整備放流実る

新潟日報(2016年6月22日)

 上越市直江津地区の街中の公園で、昭和期に見られなくなったホタルが再び飛び交い、住民を楽しませている。地元有志が自然の生息環境に似せたビオトープを3年ほど前から整備し、ホタルの幼虫や餌となる巻き貝を放流するなど地道な活動が実を結んだ。

 ホタルが復活したのは同市西本町3の八幡宮公園。神社の境内と接する緑豊かな公園だが、住宅街に囲まれ、大型ショッピングセンター「エルマール」にも近い。地区住民によると、園内でホタルが見られなくなったのは昭和30年代とも40年代ともいう。公園にある看板には「昭和の中ごろまでは飛び交っていた」とある。

 かつてのようにホタルが舞う公園にしようと、住民らでつくる「八幡宮公園の自然を愛する会」(中井良海会長)が復活へ動いた。2013年度にホタルの復活事業が市の地域活動支援事業に採択されたのを受け、園内に長さ30メートルほどの水路を掘り、未活用の井戸から水を流し込むなどしてビオトープを整備した。

 ホタルの専門家から指導を受けるなどして、14年には餌となる巻き貝のカワニナを、15年にはゲンジボタルの幼虫約500匹をビオトープに放流した。近くの街路灯に遮光板を取り付け、光が入り込まない工夫もした。

 昨夏は、ホタル7匹ほどを確認。今夏は20日までに多い日で15匹ほど見つかった。会によると、昨夏のホタルは放流した幼虫が成長したものだが、幼虫を放流していない今夏のホタルは園内で生まれ育ったものだという。会のメンバーで地元町内会長の石井春男さん(77)は「交尾や産卵、ふ化もうまくいった証しでホタルが復活したと言っていい」とみている。

 石井さんは「街中のビオトープは光が多く、狭いのでホタル復活は厳しいと思ったが、夢がかなってうれしい」と感慨深げ。「子どもたちが環境について学ぶ場になってほしい」と願っている。

 会によると、ホタルが見られるのは今月末まで。午後8時ごろがピーク。ホタルにライトを当てないなどマナーを守って観察するよう呼び掛けている。

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