立山町の伝統工芸品、越中瀬戸焼の四つの窯元でつくる「かなくれ会」(釈永由紀夫代表)は今月4日に都内で開店した県のアンテナショップ「日本橋とやま館」のバーラウンジ用に酒器を提供する。実際に使うことで客に作品への理解を深めてもらい、越中瀬戸焼のファン拡大を目指す。
越中瀬戸焼は2代加賀藩主、前田利長の時代に尾張・瀬戸村から陶工を呼び寄せたのが始まり。大正期に途絶えたが昭和に入って復興した。2012年には新瀬戸地区に窯を構える釈永由紀夫さん・陽さん親子「庄楽窯」、加藤聡明さん「四郎八窯」、吉野香岳さん「千寿窯」、北村風巳さん「枯芒(かれすすき)ノ窯」で、かなくれ会を結成。協力して伝統工芸の魅力を発信している。
バーラウンジでは県内17蔵元の地酒を提供している。格子棚には富山市のガラス、高岡市の鋳物の酒器が展示され、近く使い始める予定。越中瀬戸焼はアンテナショップ内の料理店「富山はま作」で使われているが、釈永代表はさらに手にとってもらう機会を増やそうとアンテナショップに相談。バーラウンジへの提供が決まった。
作家5人がぐい飲み4個、とっくり1個ずつを持ち寄り、29日に地区内の陶芸体験施設「陶農館」で発送作業を行った。釈永代表は「手に取り、口に触れることで伝わる魅力がある。お酒と一緒に作品を楽しんでほしい」と話す。アンテナショップは効果的な提供方法を検討した上で近く使用を始めるとしている。