福丼県プロジェクトの未利用魚を活用する新企画「おとましい丼」の提供が、海の日の18日から福井県内9市町の参加31店舗で始まる。同プロジェクト実行委員会(野坂昌之委員長)は15日、関係者向けの説明会と試食会を福井市の県水産会館で開き、参加店が考案した和風、洋風、中華風3種類の丼メニューを紹介した。
「おとましい」は嶺北を中心に使われる方言で「もったいない」の意味。おとましい丼では、水揚げされても大きさがふぞろいだったり、量が少ないためにロットがまとまらなかったりして商品価値が低く、流通しない魚を積極的に使用。資源の有効活用と海がもたらす命の大切さの啓発を図る。
試食会では「甘しょうゆ漬けのユッケ丼」「ソース味のミンチ丼」「魚肉団子のマーボー丼」が用意された。ユッケ丼はサバ、アジ、ハマチの小魚のヅケを使用。考案した福井市の「おいで康」の嶋﨑康志代表(47)は「小さいとはいえ、鮮度が良くて味は抜群。手間は掛かるが、やりがいのある企画」と笑顔で話した。
ミンチ丼は福井名物ソースカツ丼風に仕上げた。マーボー丼は辛さと魚肉の甘さが絶妙にマッチ。このほか、試食はなかったが、キスのフライなどをボリュームたっぷりに載せた丼なども披露された。
おとましい丼は9月30日までの期間限定。試食会で出されたのは一例で、参加店ごとに手に入った魚に合わせ、オリジナル丼を提供する。天候によっては漁がなく、作れない日もあるため、提供日には「本日、おとましい丼あります」と書かれたそろいののぼりを店頭に掲げる。
おとましい丼企画は、海の日制定20周年を記念して昨年、政府と日本財団(東京)が共同で立ち上げた「海と日本プロジェクト」と連携。未利用魚の提供や配送では、県漁連や県内各漁協も協力する。
参加店には期間中、未利用魚を鮮魚またはミンチにして無償提供する。参加店は随時募集している。野坂委員長は「今回構築する未利用魚の流通ルートを、9月末以降も継続できればいい。赤身も白身も混ぜるミンチは、例えば"越前ロゼミンチ"という名前で、ブランド化できる可能性も秘めている」と話している。