作品の大部分が入れ替わり、大勢の来場者でにぎわう後期展=県水墨美術館

作品の大部分が入れ替わり、大勢の来場者でにぎわう後期展=県水墨美術館

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後期展開幕、新たに50点並ぶ 河鍋暁斎展

北日本新聞(2016年7月21日)

 肉筆彩色画から水墨画、錦絵、戯画まで、多彩なジャンルで活躍した絵師を紹介する企画展「鬼才-河鍋暁斎(きょうさい)展 幕末と明治を生きた絵師」の後期展が20日、県水墨美術館で開幕し、午前9時半の開館と同時に美術ファンが続々と詰め掛けた。早熟の才能が感じ取れる最初期の作品や独特の構想力が光る閻魔(えんま)図など新たに50点が並び、前期展に続いて訪れた来場者からは「全く新しい展覧会になった」との声も上がった。

 企画展は生前に欧州で葛飾北斎に次ぐ名声を誇り、近年国内でも話題となっている河鍋暁斎の作品を紹介。前期展から展示されている幅17メートルの大作「新富座妖怪引幕(しんとみざようかいひきまく)」など11点を含めた61点が楽しめる。休館日明けとなったこの日は、平日ながら終日、大勢のファンでにぎわい、お目見えしたばかりの作品を楽しんだ。

 県内の美術愛好者でつくる「とやま美の友の会」の27人も団体鑑賞した。桐井昇子主任学芸員の案内で会場を巡った。暁斎が17歳で描いた「毘沙門天之図(びしゃもんてんのず)」は、迷いのない墨線と鮮やかな色彩の作品。暁斎が若い頃から才能を発揮したことがうかがえ、桐井学芸員は「暁斎は若くても年を取っても作品のレベルに差がない。天性の絵師だった」と説明した。

 晩年の「閻魔と地獄太夫」については「閻魔の荒々しい輪郭線と、遊女の細やかな線描のギャップが楽しい。美醜の対比も暁斎は得意だった」と紹介した。

 同会事務局長で富山市若竹町の渡邊宏二さん(72)は前期に続いての来場。「迫力のある作品が増えた。改めて暁斎のファンになった」と喜んだ。上市町大岩の主婦、嘉藤俊子さん(79)は「多彩な描きぶりはピカソのよう。もっと世界で有名になってもいい」と語った。

 会期は8月7日まで。県水墨美術館と北日本新聞社でつくる実行委員会、河鍋暁斎記念美術館主催。

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