マイクを握る桐井学芸員の解説に耳を傾け、暁斎と娘との交流に理解を深める来場者=県水墨美術館

マイクを握る桐井学芸員の解説に耳を傾け、暁斎と娘との交流に理解を深める来場者=県水墨美術館

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暁斎娘・弟子との交流紹介 県水墨美術館・ファン続々来場

北日本新聞(2016年7月31日)

 県水墨美術館で開催中の企画展「鬼才-河鍋暁斎(きょうさい)展 幕末と明治を生きた絵師」は30日、会期終了まで1週間余りとなり、うだるような暑さにもかかわらず、大勢の美術ファンでにぎわった。担当学芸員のギャラリートークもあり、展示作品を通じて、奇想の絵師と呼ばれた河鍋暁斎と娘や弟子との交流を分かりやすく伝えた。8月7日まで。

 展覧会は、浮世絵師の歌川国芳と狩野派に学び、幅広いジャンルを自在に描いた暁斎の肉筆彩色画や水墨画など61点を展示している。

 ギャラリートークでは桐井昇子主任学芸員が、軸装の作品「柿に鳩図」にまつわるエピソードを紹介。暁斎の娘で日本画家の暁翠(きょうすい)が5歳になる頃に手本として描いた作品だったことを明かし、「幼い暁翠は思うように描けずに泣きじゃくった。でも、晩年まで自身の画室に掛けて作品と対話していた」と説明した。暁斎と暁翠が合作した双幅「年中行事十二ケ月図」は、それぞれの筆線や色彩が似ていることから「暁翠が必死に父に追い付こうとした姿が見える」と述べた。

 弟子のために描いた絵手本をまとめた「暁斎絵手本画巻」は、人物から動物までさまざまな画題が載っており「暁斎が弟子を熱心に指導した様子がうかがえる」と述べた。英建築家のコンドルが弟子だったことにも触れ、絵師としてだけではなく、指導者としても優秀だったと強調した。

 富山市の会社員、福田ゆかりさん(57)は「絵師になるのは大変なこと。暁翠は暁斎の絵を大切なメッセージとして受け止めていたのだろう」と推し量った。

 前期展に続いて来場した富山中部高校3年の金山謡(よう)さん(17)は「弟子に頼まれたら、どんな絵でも描ける暁斎に改めて感心した」と話した。

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