剱沢キャンプ場の水質検査のために採水する山岳監視員=7月27日

剱沢キャンプ場の水質検査のために採水する山岳監視員=7月27日

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半世紀、山小屋の食中毒防ぐ 山岳監視員、今夏も活動

北日本新聞(2016年8月3日)

 県が独自に設ける「山岳監視員」が、今夏も立山・黒部一帯の全ての山小屋を巡り、食中毒の恐れがないか衛生チェックを続けている。山岳監視員は、半世紀以上続く全国的にも珍しい制度。今年は11日が新たな祝日「山の日」に制定され、登山への関心が高まっているだけに、県は「例年以上に気を引き締め、衛生状態に目を配りたい」としている。

 「山岳観光地衛生監視」は、1962年に山小屋で赤痢患者が出たことを受け、翌63年にスタート。監視員は、県全域の保健所職員から希望者を募集。延べ60人が6月中旬から8月下旬にかけ、山荘やキャンプ場などを調べている。

 山小屋4カ所とキャンプ場を回る立山縦走コース(2泊3日)や、六つの山小屋を調査する仙人・阿曽原コース(同)のほか、3泊4日の後立山コースもある。監視員は2人1組で山小屋を訪ね、まな板や包丁の汚れ具合のほか、使用する水の塩素処理状況を確認。キャンプ場の水質もチェックする。

 検査に要するのは約1時間だが、次の小屋への移動に3時間かかることも珍しくない。荷物の重量は約10キロ。転倒して足をくじいたり、霧でルートを見失ったりすることもあるため、今年から衛星携帯電話を携行している。こうした奮闘のかいあって、県内の山小屋では20年以上、食中毒が確認されていないという。

 立山黒部アルペンルートの入り込み客は、昨年の北陸新幹線開業を機に増加傾向にある。昨年は99万7千人。初めて「山の日」を迎える今年は、4、5月の速報値が前年を2%上回り、外国人の数も伸びている。県生活衛生課の堂高一彦課長補佐は「衛生面からも、山の安全を守っていきたい」と話している。

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